病院は人間の学校 / Human school

新雪が少し降ったらしい

今日も病院へ。今朝方の新雪で、風景がまた化粧し直した。車の人は顔をしかめるだろうが、ただ見るだけの私には大きなプレゼントだ。雪が降るたびにそれを貰える、有難い暇人だ。

病院に来ると、ふだん意識しない呼吸や、食物を口に入れる、噛む、飲み込む、消化、吸収、排泄という毎日誰もがしていることの有難さを再認識させられる。そして死も。病院は「人間の学校」でもある。

「有難い」ということは、感謝すべきだという意味ではない。文字通り、「有る」ことが難しい(難い)という意味だ。私たちはつい医学の進歩とか社会制度とかを過信しがちで、死についてもそのぶん何となく余裕ができたような気持ちになりやすい。

その過信を、病院は時には一層過信させ、時には簡単に打ち砕く。人間が生き物であり、動物であり、微妙なバランスを取りながらロープの上を滑る、やじろべえであることを病院は教えてくれる。