Akino Arice, here. 秋のアリスで~す

「秋のアリス」 水彩・F8

知人の絵がなんとなく「坐り」が悪いので、「どこか調子悪い?」と尋ねたことがある。「最近腰の具合が悪くって」。

この画面の、変な具合に傾いた感じがわたし自身のそれを暗示しているような気がする。この「傾き」はもちろん、画面内に微妙な動きを創り出そうという意図的な構図意識によるものだ。でも、なぜ「意図的に傾けたのか」とさらに半歩追及すると、やっぱり「腰」が無意識に関わっていたのかも、と思わないでもない。

教室のモチーフによるデモ制作を、時間を作って(とりあえず)仕上げてみた。途中で「そういえば(わたしは)子供の頃から、一つのことをちゃんと仕上げるという意識が薄かったなあ」と、ふと頭に浮かんだ。

マラソンで言えば、ゴール直前になって、急に路傍のラーメン屋さんで食べている人が気になって、いきなりその隣に駆け込み「美味しい?なら、オレも!」といいつつ、すでに(いま進行中のマラソンとは無関係の)ラーメン研究?に頭を突っ込む。例えが適切かどうかは別として、そんな感じ。「ゴール直前まで来ているから、ここで中断するのはもったいない」という意識が薄い。じぶんが成功者になれない理由はここかな?とか思いつつ、「どんなものにも『ゴール』というものはないのだ」などと、わかった風にうそぶいている自分の、「坐り」の悪そうな姿もこの絵には見える。

3週間ぶりのアップロードです

3週間ぶりにスケッチ動画をアップロードしました。本当は現場からライブのようなかたちで伝えるのが理想ですが、体調やその他の諸事情からいまのところはこんな形式で、とりあえず「練習」です。来月は青いカモメ絵画教室のスケッチ会も予定されています。参加メンバーの参考になれば嬉しいです。

それと、先週土曜日(10/22)でグループ展「風土に生きるⅨ」展が無事終了しました。会期中4回銀座の画廊に通いましたが、なんとか腰痛もそれほど悪化せず「無事終了」を実感したところです。

展覧会場にいくと、友人知人たちが近くのあちこちで個展、グループ展、団体展をやっているのでついでといっては失礼ですが、ついでに見て回ります。それで自分の絵が大きな影響をうけることはもうありませんが、「発表する意味」などについてはいろいろと考えます。

目が悪くなり、手指が固くなり、足腰が弱り、記憶力も減退し、体力も年々無くなってきます。若い時のような力任せの絵は描けなくなっているかもしれません。でも、そのぶん見えてきたものもずいぶんあります。これからは、それをどう表現するか、です。まあ、あと5年くらいは今の調子で描けるでしょう。そのあとはどうするか、その間に考えることにしましょう。

This is my best work, now.

出品作「Apple-田園」 F100 テンペラ

「風土に生きる Ⅸ展」(10人の作家グループ展、銀座・ギャルリー志門. 10/17~10/22)への出品作です。直前になって何かモニョモニョと不安になり、一部だけ加筆しました。後で見ると、ひとつも良くなっていない。やっぱり筆を擱くタイミングってあるんだね。

大作画面の下部って、誰にとっても描きにくいところです。しゃがんで描いても、寝転がって描いても、テーブルの上に水平に置いて描いても、描きにくい位置なんです。だからほとんどの絵は画面の下1/4~1/5は破綻なく収めるためのクッションのようになっているものです。左下の葉っぱはまさにクッション。そうしたくはなかったけれど、このタイミングでこのスペースでは、他に何のアイデアも出てこなかったのです。写真はその部分を描くため、テーブルの上に絵を(縦に)載せた状態です。

10人のグループ展ですから、会場ではそれぞれの絵が主張し合います。見る側からは、そのぶつかり合いがグループ展の真骨頂ということになるのでしょうが、描く側から言うと、皆さんもうベテランなので、そんなこと実はどうでもいいのです。悪い意味ではなく、それぞれが「不可侵」の自分の絵の世界を持っているということでしょう。それが世間とズレていようと、構わず突進するという其々からのシグナルです。グループ展の絵を見るとき、そういうことを頭の片隅に置いておくと、案外に作家からの素直なシグナルが受け取れるかもしれません。

10月17日(初日)、19日(中日)、22日(最終日)は会場にいる予定です(ちょっと遅れることがあります。ゴメンね)。腰の具合が悪く、歩行困難な時は休むかもしれません。その時もゴメンね。