団地の夕陽(試作)

「団地の夕陽」試作 この絵はウインクすると、よく見えます

銀座でのグループ展、「風土に生きる・第10回展」を昨日(2023.10.28)終了しました。

このグループ展はこの後も続くことになりましたが、わたし自身はこの10回展を以て、(すでに公表しているように)離脱することにしました。それは自分自身の考え方によるもので、展覧会やメンバーに対する不満があったわけではありません。むしろ、10年間良い勉強をさせて頂き、感謝以外にありません。

「夕陽」試作です。(一昨日の、未完状態よりつまらなくなってしまいましたが)この段階においても、いくつも技術的な問題が出てきました。それは次の試作で解決されるはずですが、そこで、また新たな課題が出てくることでしょう。その繰り返しで一つの作品に結実すれば言うことはないんですけど、作品ができるにはそんな解りやすい道筋ばかりとは限りません。むしろ、そこから絵画の旅が始まるとでもいうようなものです。

黄昏(たそがれ)

夕陽(制作中)

銀座でのグループ展も明日で終わる。10回目の節目の年。わたしの中での絵画デビューを、20歳での上野の公募展入選ということにすれば、ちょうど今年で50年になる。公募展も25年を経験し、今年がいくつもの節目と重なっているのもなんとなく因縁めく。

夕陽のあたるアパート群。この中にもいろいろな趣味、嗜好の人々が住み、様々な生活模様があるはずだ。陽は等しくなど当たらない。息苦しい西日に脚を投げ出す人もいれば、陰の中で少し厚着をしながらページを繰る人もいるだろう。平衡状態ではモノは動かない。不均衡だからこそ、世の中は回っているのかもしれない。象徴的な風景。

「ぐるる」体育施設場・秋」水彩 コットン紙、F4

だいぶ秋めいてきた。月曜朝、東京・銀座のギャラリーへ作品を運ぶ道すがら、陸橋の上から雪化粧の富士山が見えた。すでに七合目あたりまで白い。その時、そういえば、「北海道は平地でも1回目の雪」の報道がすでにあったなあと思い出していた。

気候温暖化。子どもの頃は、青森県でも10月半ばが最初の霰(あられ)。その後、数回の霰を経て「初雪」。すぐ溶けるが、そんなことを数回繰り返して、本格的な降雪。根雪になって春まで残る。

雪が降ってくると、わたしの五感はざわめき、外に出たくて、うずうずしてくる。「雪の風景」の中にいるのが「好き」。雪の色も好き。のんのんと雪を降らし続ける灰青色の空と、そこからぴゅうぴゅうと手裏剣のように降ってくる雪、花びらが舞うように、ゆっくり、くるくると回りながら落ちてくる雪、まるで粉のように乾ききって、パサパサと払えば落ちる雪。それらはみんな別々の色をしているんだよ、知ってる?

でも、気がつけば、ここは埼玉県。気象的にはっきりと分かる季節変化は小さいぶん、逆に言えば季節感の変化に鈍感な人には「微妙過ぎて、難しい地域」なんですよね。埼玉県人って、季節の「微妙な」ニュアンスの違いを見分ける力を平均すれば、日本一、いや「世界一」かも知れませんよ。そんな埼玉の「微妙な」「秋→冬」です。OK?—明日は銀座へ行く予定です。