ポインセチア・ビデオ編集中

危なかった。あと3~4分で26日になるところだった。ビデオ編集に追われて、ブログのことをすっかり忘れていた。

今回は「風景の中の」ポインセチア。ポインセチアは、単独で描くのはとても難しい植物のひとつ。あの大胆な赤自体もそうだけれど、いざ描こうとするとなぜかあの赤が褪めてしまい、複雑なかたちだけが押し出されてくる。

あの赤は太陽の光を浴びてこそ。だから室内に持ち込んだとたん、日当たりと陰とで作り出す鮮やかなコントラストが失われ、急に不機嫌に黙り込んだようにとげとげしい表情になるのである。けれど、これは冬の花(?)。野外でなど描いていられないという、人間側の事情がその不機嫌さの原因でもあるわけだ。

ならば室内でもっとも居心地の良い、日当たりの場所を提供するしかない。冬の太陽は這いつくばる様に低く動き、すぐにモノの影に隠れてしまう。贅沢な光の場を要求する、冬の独裁者なのである。それが、あの赤なのである。

芸術は遠ざかる

[こっそり自分へのクリスマスプレゼント。スマートウォッチのベルト。2個で999円。大いに満足]

今日、一ヶ月ぶりくらいにスケッチブックを買いに行った。買いに行くのは小さなスケッチブックで、10号などの大型スケッチブックはいつも何冊かまとめて画材屋さんに頼んでしまう。最近は油彩やテンペラでの大きな絵もあまり描かないので、油彩筆の消費量も少なく、もっぱら水彩、紙系の消費が多くなった。

国内ではあらゆるものの物価高が問題になっているが、紙を筆頭に、画材関係の値上がりもやはり凄まじいものがある。美術関係の原材料はもともと希少品などが多く、値段も高めなのだが、それに地代、人件費、輸送費、倉庫や品質管理などの管理費、宣伝費、税金と、これでもかというほどに積みあがっている感じだ。忙しさに流されず、人生の時間をゆったりと芸術に親しみましょう、なんて口にするのも憚られるほどの価格である。芸術がますます人々から遠ざけられるのをどうすることもできない。

欲しい、使ってみたいスケッチブックや紙は数種類あったけれど、結局長考して1冊しか買うことが出来なかった。スケッチブックの今どきの値段を知らないわけではないのに、ですよ。年末は制作三昧、なんて夢の中でしかできなそうだ。正月用品やお酒はどこにも溢れていたのに、それがなぜか「豊かさ」のイメージとどんどん離れていくように見えた。

師走の銀座風景

「ポインセチア」試作2 このレベルじゃ、まだ全然ダメ
師走の銀座界隈

先日(12/16)、国画会の安原容子さんの個展などを見に銀座へ行ってきた。最終日だったが、いずれの個展もひっきりなしに来場する人がいて、絵を見に来る人は減ってないんだな、といささか安堵した。

歩行者天国も久しぶり。中国語も多く耳に入り、かの国での観光がオープンになったことを肌で感じた。路上の思わぬところに座り込んで、めいめいスマホをいじくっている家族。まだ微妙な違和感はあるが、ひところの中国人観光客レベルからみると、ずいぶん日本人感覚に近くなったと感じる。

ホコ天をあるいていると、ヨーロッパ、アメリカ、南米系、中東系、アフリカ系の顔が行きかう。ワイシャツだけで行ったのに、それでも汗をかいた。12月半ばで、この暑さはどうなっているんだろうか。Tシャツ一枚で歩いている人もいれば、その隣ではダウンを着こんだ人もいる。そんなホコ天から、各画廊へは90度ずつ、カクカクと曲がっていく。

長年苦しめられたポインセチアの、一つの攻略法が見つかり、今年は少しだけ肩の荷を下ろした(近々、それをYouTubeに乗せるよ)。大みそかまであと10日。元気な人の、元気な個展を見ると、来年の発表までの十数点の絵の構想と試作をしながら、もう一歩ポインセチアの攻略法を探す気力も湧いてくるよ。