藤澤伸介展:作家と道具の深~い関係

個展会場から
出品作品から:2つの紙の切り方を見る
出品作品から:かたちをなぞる「切り絵」ではなく、切ることと描くことが融合する

包丁を持つと人格が変わるとか、ハンドルを持つ(運転する)と性格が変わるということは、冗談半分の話として時々口の端に登ることもある。けれど、わたしたちは常に自分が主体(上位)であり、自己の意志のもとにモノや手段(下位)を遣っていると教育されてしまったから、せいぜい笑い話レベル程度以上には扱われない。

けれど子どもの頃、ハサミを持ったら何でもチョキチョキ切りたくなったり、シャベルを持てばそこらじゅうを穴ぼこだらけにした経験は誰にでもあるのではないだろうか。切りたくなったからハサミを持ち出したのではなく、シャベルを持ったから(用もない)穴を掘りたくなったのではなかっただろうか。

アーテイスト(こういう呼び方は好きではないが)の多くは、そういった子ども時代のハサミやシャベルを一生涯手放さない人々のことでもある。一見ただの道具でも、年月を経てそれに習熟し、腕を磨き上げればそれらはとんでもない武器に変身する。というより、本来の姿を現してくる。それが藤澤さんのカッターだ。

あまりにも使いこんでいるために、ごく自然に彼自身がカッターになりきっている。こんなふうにカットしようと考えているのではなく、気づけばもう切っていた、そんな感覚。そうでなければ無駄のない鋭い「かたち」など生まれ得ない。極めて数学的な線でありながら、どこかに子どものような脱線の遊びを含んだカッティング。彼はもともと彫刻家だが、木を削る時には鑿(のみ)そのものとなり、時には粘土を付ける箆(へら)にもなる。画家でもあり、時どき筆になる。Cutter(切る人)でもあり、詩人のときは可愛い一本の小枝にもなる。フツーのようだが普通ではない。(下北沢:ギャラリーHANA)

※「切り絵」ではなく「切り紙」であることに留意してくださいね。

久しぶりに野外スケッチへ

秋の公園にて (水彩 F6)

実に久しぶりの野外スケッチ。腰痛が常に意識されるようになってからは本当に久しぶりで、一昨年の浅草でのスケッチ以来かもしれない。

2日ほど前から、ここでスケッチの動画を撮影(の練習)しようかなと思っていたが、妻がカメラの一台を手伝ってくれるというので腰を上げてみた。ところが、出かけて早々、あっちの野菜売り場へ行ってくれ、こっちの店へ寄ってくれというので、これじゃ撮影時間は無いなと急激にやる気を失っていく。

現場で小一時間場所探し。撮影開始は午後1時ちょっと前。夕方は別の用事があり、午後3時頃からは雨の可能性もあるので、制作は1時間程度と想定。手前駐車場の地面にはイチョウの枯葉がたくさん散っていたが、それは後で描き加えることにした。鳥のさえずりがすごい。イチョウもまだそれほど黄葉が進んでいなかったが、銀杏の実はそこら中に落ちている。人や車の出入りもわりと頻繁で、子どもの声もあちこちから聞こえるなど現場写生の面白さがある。筆先が擦り減って丸まった筆を使ったので、そのコロコロ感も出ていますね。

一眼レフカメラを三脚で斜め後ろに固定し、スマートフォンを妻に渡して適当にいろんな角度から撮ってもらった。スケッチの撮影は今回が2回目。一回目はまるまる2年以上前で自分は描くだけだったので、すべて自分でやるのは実質的に今回が最初。とりあえず撮影全体を経験するのが主目的で、良し悪しは二の次。でも、近いうちにこの動画もアップしてみようと考えています。

フェルトペンとSMが最強コンビ

鳥の置物とキャンディボックス1
鳥の置物とキャンディボックス2

フェルトペンで何でも描く。フェルトペンがこの頃ではわたしの最も身近な画材になっている。もちろんどんなサイズでもペンが有効なわけではなく、小さいスケッチブックに限られる。一番ぴったりなのはSMサイズとのコンビネーションだと思う。この組合せでいつも持ち歩いている。

「キャンディボックス」は折り紙。ある人がこれにキャンディを入れてくれたから、そう呼んでいるだけ。特に専用というのではない。折り紙は尾形光琳の「カキツバタ図屛風」のプリントされた、ちょっと厚手の紙。「杜若(かきつばた)」に見えるかな?

「SMのスケッチブック+フェルトペン」で描いたスケッチ(スケッチにしては描き込み過ぎなのだが)をYouTubeに続けてアップしている。いくつかのスケッチの中で、ペンだけの(モノクロ)の地味なのが、なぜかわたしのチャンネル「青いカモメの絵画教室」の中では大ヒット中らしい。1割ほどは海外の人も視聴しているらしいのは、さすがにネット社会だと実感する。

ところが今日、突然ビデオ編集が出来なくなった。少なくとも一昨日までは何ともなかったが、昨夜のうちにWindowsのアップデートがあり、どうもそれが原因で編集ソフトとの連携がおかしくなってしまったらしい。今のところ対処の仕方が分からず、お手上げ状態。解決法を見つけ出すまでのあいだ、このコンビでのスケッチの腕を磨いておけ、というご託宣のようでもある。