「再現性」再考

湖池屋ポテトチップスを描く(油彩)

ここのところ急にポテトチップスだの、チョコレートだのと「お菓子」づいている。「伝統的な『絵画モチーフ』以外」を描くことで、画題的にも、技術的にもあらたな発見を求めようとしているが、これもその一環。今回は、モチーフはそれぞれ異なるが、どのクラスにも同じコンセプトを強いている。どのクラスの分もデモ制作しようと考えたら、毎日 のようにデモ関連の制作を続ける羽目になってしまった。

一番勉強になるのは、モチーフを強いているわたし自身だろう。モチーフ探しの場所もこれまでと180° 違い、近所のいくつかのスーパーだのコンビニだのを回るようになった。CGでも写実というより、写真的な「技術性」を求めて制作を試みている。

写真的描写=上手というだけの低レベルの常識を変えたいという思いから、これまではあえて細かい描写性を遠ざけてきた。けれど、そのことが逆に「伝統的な」絵画性にわたし自身を含めて縛りつけてしまったのかもしれない。そんな反省から、「イラスト」まで含めての絵画「再発見」と現実的な「技術的」観点から、あえて写真的描写にフォーカスしている。

「再現性」に対する人間の欲求はとてつもなく強い。学者の意見を聞くまでもなくビデオだの音楽におけるレコードだのを考えるだけで簡単に想像がつく。再現性に対して「即興的・抽象的イメージ」があるが、「論理性」に目を向けると、「再現性」に関する、人間の執拗なまでの努力の歴史が浮かび上がってくる。これを単に「つまらない・面白くない」というだけでは皮相に過ぎるだろう。好き嫌いを越えて、もう一度向き合いなおす機会でもある、と考えている。