倉庫から

「海峡」        1996    油彩      160×130cm

倉庫で作品の整理と木枠からの引き剥がし作業をしていて、古い油絵を引っ張り出した。油彩画をやめてから30年以上だと思っていたが、時々は描いていたことになる。保存状態は良好だった。

今見ると、イメージにムラがあるなど、完成度は高くないが、湧き上がるイメージをそのままどんどん描いていく率直さがあって、タッチにも伸びやかな若さを感じる。古典絵画の勉強も少しはしていたから、そういう面も素直に現れていると思う。そう、一言で言えば自分に素直な絵だ。

この頃は3m、4mという大作も含め、一年に120〜150枚は描いていた。注文などいっさいないのに、ほとんど朝から晩まで描きづめ。それが何年間か続いていたはず。どうしようもなく暇で、他にやることが無かったのだろう。二度の大きな引っ越しの際に、それぞれ数百枚ずつ剥ぎ取った絵が山になったのを覚えている。懐かしい時代の遺物。

 

漂う世界

漂うひと

今年後半にはまたエルニーニョ現象が起きそうだという。数年後の日本では生まれる人の倍の人が死に、間際のケアが不足するらしい。一方で、世界の人口は80億が目の前に迫り、食料・エネルギーを巡ってさらに取り合いが激しくなり、一層偏ってくる。世界中で紛争が起こって難民が右往左往し、そのことがさらに紛争を引き起こす。企業世界での無人化は一層進み、若いひとの大半は職につくのをあきらめる。

何を考え、何をすればいいのか。何が正しいのか、もう誰も分からなくなっていると思えば、そんな風にも見えてくる。じっと立ち止まって考えることも難しい時代。「アラブの春」などどこへ行ったのか。もう誰も口にさえしなくなった。

 

春めく−2

 

 

春めく−2

ここ数日、まるで本当に春が来てしまったかのようだ。けれどこのあと再び冬に逆戻りすると言う。まさに三寒四温。

急に暖かくなると、すぐ桜の話題がマスコミに持ち出される。そうやって一年中釣られて、足元を見るのを忘れてしまうのが、お互いに幸せなのかも知れない。