繻子蘭(しゅすらん)

繻子蘭の花が咲いた(背後の明るい緑の葉は無関係)

繻子(しゅす)は織物の一種のこと(英語ではSatin:サテン)で、基本的な織り方のひとつだが、あまり耳にしなくなった。引き締まった独特の光沢をもつが、それがこの蘭の名前に繋がったのだろう。

繻子蘭は(写真では見えないが)葉の下に、蛇がくねるように太い茎が低く伸びていく。「這うように」と言ってもいいかも知れない。葉はやや厚く、表面にはビロードのような光沢がある。深く濃い緑の葉の中に、赤い葉脈が付け根から先端まで幾筋か平行しているのも絵的に美しい。寒いところが苦手で、だいたい人と同じくらいの温度が好きらしい。

2日ほど前から花が咲き始めた。花はとても可愛い。とくとご覧あれ。花の大きさは直径1cmほど。カトレアのような「あばずれ女」と比べれば、いかにも清楚可憐。比較的太い茎の割には小さめの花というのも、私には好ましい。「本当に美しいものは、たいてい地味であり無口である」を実感する。