倉庫から

「海峡」        1996    油彩      160×130cm

倉庫で作品の整理と木枠からの引き剥がし作業をしていて、古い油絵を引っ張り出した。油彩画をやめてから30年以上だと思っていたが、時々は描いていたことになる。保存状態は良好だった。

今見ると、イメージにムラがあるなど、完成度は高くないが、湧き上がるイメージをそのままどんどん描いていく率直さがあって、タッチにも伸びやかな若さを感じる。古典絵画の勉強も少しはしていたから、そういう面も素直に現れていると思う。そう、一言で言えば自分に素直な絵だ。

この頃は3m、4mという大作も含め、一年に120〜150枚は描いていた。注文などいっさいないのに、ほとんど朝から晩まで描きづめ。それが何年間か続いていたはず。どうしようもなく暇で、他にやることが無かったのだろう。二度の大きな引っ越しの際に、それぞれ数百枚ずつ剥ぎ取った絵が山になったのを覚えている。懐かしい時代の遺物。