初夢

本当は、この絵の外側。何にもないところが美しい

美しいと感じる対象(モノとは限らない)は人それぞれ違っているだろうし、それが大事なことでもある。同じ一人の中でも、その成長の時期や精神の深化の過程で、対象も変化するに違いない。そして、多くは忘れられ、失われていく。美しさは一瞬。

初夢の中で考えていた。自分が、本当に美しいと思うものは何だろうか、と。あれでもない、これでもないと選ぶうち、ふっと「雪かも知れない」と湧いてきた。
 あとから考えると、元旦に雪景色を描き初めしたから、きっとそれが夢に出てきたんだろうと想像したが、その前に、美しいものを自分からどんどん捨ててきてしまったのではないか、と哀しい思いでいっぱいになっていたことも覚えている。
 記憶の箱の中から、焦るような気持で、失ってしまった「美しさ」を一つ一つ取り出している(それらが皆、紙の上の絵のように平面なのは笑ってしまうけど)。そして、突然掌に現れたのが、小さな石にこびりついている雪だった。大好きな林の中で、半分ほど凍りかけた雪を指で擦っていた。

そうだ、雪の色は白じゃなかった。じんわりと石の色が透けて、ギザギザした、そして風に擦られた子どもの頬っぺたのような色をして、その上に針のような小さな結晶も一つ二つ立っている。ずっと、それを描くだけでよかったんだなあ、と目が覚めたあとも考えていた。

投稿者:

Takashi

Takashi の個人ブログ。絵のことだけでなく、日々思うこと、感じることを、思いつくままに書いています。このブログは3代目。はじめからだと20年を越えます。 2023年1月1日から、とりあえず奇数日に書くことだけ決めました。今後の方向性その他のことはぽつぽつ考えて行くつもりです。

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