Apple-2

「Apple」 2019 F6  Oil on canvas

私の「Apple」の最初の登場は1980年代後半だから、少なくともすでに30年以上、中断しつつ続いている。今また新たにシリーズ化しそうな感じだが、ここらへんで言っておきたいのは、 「Apple=リンゴ」 と変換して欲しくないということ。

私はほぼ一年中、毎夕食後にリンゴを食べる。「りんご・リンゴ」は私にとって「実物」であって、単なるイメージではない。また、私はリンゴのことをふだん「Apple」とは呼ばない。だから、作品としての「Apple」 は私にとって、一つのかたちとしてのイメージ(抽象)であって、食べたりする実物の対象を描写しようとするものではない。「Apple」は「Apple」という、リンゴとは全く別物、次元の違うものだ、と考えて欲しいのである。

そう考えてもらえれば、この絵はすんなりと見たままに理解できる(はず)。全体としてはリンゴのようなかたちをしているが、よく見るとムキムキマンの男が、(マントのようでもあり、羽のようでもある「翼を持って」)飛んでいる絵が見えてくるかもしれない。それが「Apple」である。

実は、このような仕掛けの絵は世界中にずっと古い時代からあり、私もそれらを参考に、これまで何度も様々な試みを重ねてきた。けれど最近の「Apple」は(私自身の制作の中では)これまでのものとは明らかに違う意識がある。この先どうなっていくか、自分自身でも少し楽しみでもある。