坂本新市展を見て

坂本新市「世界樹」

川越、ギャラリーユニコンで開催された「坂本新市」展を見た。素晴らしい作品展だった(会期は既に終了。会期中にアップ出来なかった)。恥ずかしい話だが、「坂本さんの作品に注目しだしたのは最近 のこと。数年前から。最初は「何か言いたいことが詰まっているようだが、雑音が多く、よく聞き取れない」という印象だった。

ほんの数年前から、彼は一つの色彩を捨てた。捨てたことによって、彼に必要な色だけがキラキラと輝くように残されて、それが彼自身の持っている色彩を、より一層引き立てているように感じた

「世界樹」という彼のテーマはずっとずっと以前から温められていて、それを表現しようとさまざまな行為、工夫を積み重ねてきたことは、作品の前に立った瞬間から風のように吹きつけてくる。しかし以前の悪戦苦闘ぶりがすっと奥に引っ込み、彼の声だけが無駄なく魅力的に伝わってくる。これまでのすべてがぴったり噛み合ってきたという印象だ。大変な集中力がその背後にあったに違いない。

以前のような、少し遠慮した、おどおどした言い方でなく、ハッキリ、堂々と「これがオレの世界だ」と宣言し、実際にその価値があると認めさせる個展だ。昨年彼は国画会の会員に推挙された。これから毎年、彼の独立宣言以後を追っていくことができる。彼のような有為な作家を、このタイミングで(彼にとっては厳しかったが)会員に推挙できる、国画会の懐の深さもさすがだと思わせた。 2011/9/16

投稿者:

Takashi

Takashi の個人ブログ。絵のことだけでなく、日々思うこと、感じることを、思いつくままに書いています。このブログは3代目。はじめからだと20年を越えます。 2023年1月1日から、とりあえず奇数日に書くことだけ決めました。今後の方向性その他のことはぽつぽつ考えて行くつもりです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です