あやめの秘密

「あやめの秘密」  水彩*アクリル ホワイト・アイビス紙

この絵を描く動機は、あやめの紫にどんな白をどう使うか、というテスト。「白」を中心に考えると、透明水彩や水墨画などは、もともとの紙の地色を「白」と「仮定して」描く技法。それを「仮定」ではなく、実際に白として使うのが「不」透明水彩(ガッシュ)やテンペラ、アクリル、日本画などの水性絵の具や油絵などの不透明技法。

透明水彩をベースに、一部だけ白を使ったら表現の幅が広がるというか、ラクに描けそうだというのがテストの中身。この程度のことは誰でも考え、すでにやっているのは知っているが、もう少し深く突っ込んでみたいと思った。

この習作の前から、「水彩+テンペラ」という方法で何点か試していた。併用の合理性は高く、効果も期待できるのだが実技が難しい。水彩は油絵に比べると乾燥が遥かに早く、制作の直感性、スピード感が生命、というところがある。テンペラは一見乾燥が水彩並みに早く見えるが、完全乾燥は油絵より遅いといわれている。そのギャップを手早い作業で乗り越えるのが至難だ。時間をかけて描くタイプの人には向いていると思う。
 というわけで、テンペラ以外の素材を研究中。ここでは単純にチャイニーズホワイト(亜鉛華)を使った。最も一般的なやり方で、やっぱり一番簡単だと再確認。小さい部分ならこれでよい。周囲の白はアクリルのモデリングペーストライトとチタニュウムホワイトの混合。ザラザラ感は下地の紙による。

ところで「秘密」ってなんでしょうね。誰にもはっきり見えているけれど案外気がつかない、それがヒントです。あやめの「綾」のことではありませんよ。

指絵

「カモメのいる浜辺」

ちょっと疲れてきたのかも。ルーティンになりかけた自転車ウォーキングも、ここ10日間ばかり積極的に行く気持ちが薄れている。特に体調が悪いとも感じないし、眠れないわけでもないから、それなら疲れかな?と思う程度。

「癒しの自然音」という、“睡眠用” の音がネット上にはたくさんある。鳥の声とか波の音などが多い。時々、夕方にかなり眠くなってしまう時があって、そんな時こういう音を流しながら横になることがある。けれど、効果があると感じたことがない。

むしろこういう画像を眺めて、勝手に想像する方がずっと癒される気がするし、ちょっと戻ってしまうけれど、こういう絵を描く方が満足感があって、(描くときはもちろん眠くないが)描き終わったあと、なんとなく心が軽くなる気がする。

絵を描くには技術やちゃんとした画材がなくちゃ、と最初に思い浮かべる人は多いらしいけれど、絵を描くには画材などない方がいいこともある。
 指一本で空中に描く。実際、わたしは半分無意識にそうしていることがある。すっと通り過ぎた人の顔の輪郭など、一瞬指でなぞっていたりする。そうすることで頭の中にかたちが保存される(気がする)。
 必要なのは、やっぱり「描こうとする気持」。そして、1分以内という時間。5分あったら、画材が手もとにあったら、「さあ描くぞ」と構えてしまって、逆に “指絵” が描けなくなる。他人に見えなくたって、絵は絵なのである。

アネモネ、薔薇、ダリア

             「薔薇の習作」   水彩 ワトソン紙

薔薇を「花の女王」と位置付ける人は、欧米の人々を中心に多いようだ(日本なら牡丹かな?桜はちょっと意味が異なる気がする)。だからか、とにかく新品種の開発速度が速く、どんどん色もかたちも変わっていく。それとともに愛でる側の薔薇のイメージも変わる。

今年(2026年)流行の薔薇の品種は分からないが、これは比較的最近の、ラナンキュラスに似たタイプの薔薇。ラナンキュラスはアネモネに近い種で、わたしははじめはアネモネの一商業品種だと思っていた。

アネモネはわりに好きな花で、毎年春がくるたびに描いたものだが、ラナンキュラスは花びらの枚数がやたらに多いので、描くにはけっこう負担を感じさせる花だった。そういうわけで、このタイプの薔薇も億劫だった。

けれど、見るぶんには柔らかい(もふもふ感のある)グラデーションと、カドのない優しい形状で、いまの人の感性には受けそうなタイプの花である。実際、一時期は爆発的に流行した。少しそのほとぼりは冷めてきたようだが、ここ数日薔薇を続けて描くうちに、描いてみようかな、という気持になった。数枚描いてみると、描き方のコツみたいなものを感じた。これが描けたら「ダリア」も描けるようになる、かも知れない。