

「鳩と薔薇」では、できるだけワンタッチで描こうとしていた。筆を重ねたとしても、なるべく大きな面積を、一回だけ重ねることが目標だった。ちょっと変わった構図だが、小さな薔薇の鉢植えに、お尻を隠すようにしているのを上から見ているという発想だ。
なぜワンタッチかといえば、前回の「林道の橋」で、かなり描写的になったことへの反動だ。別に描写的なことが悪いと言っているわけではない。前回は描き過ぎた感じもあったから、バランスを取るために二歩ぐらい引いてみた、ということ。
絵を描くことは、時には薬のように働く。描くことで気分がスッキリと軽くなったり、反対にそのことによって気持が重たくなるどころか、八つ当たり気味にものを壊してみたり、さまざまな “副作用” が現れたりすることもある。毒にもなるのだ。
重たい絵(一般的に言えば時間、体力・気力が必要な絵、としておこうか)が気分を重くするとは限らない。大きな満足感や充実感を得られることも少なくない。
軽い絵、重い絵。それぞれに用法、用量があり、どちらにも「効能」があるようだ。症状(気分)に応じて使い分けるのが良い。



