山狩り / Comb the forest

Rose in white

街は師走。井の中の蛙である私にとっては、世の中全体が忙しいように感じるが、そんなことなどあるはずがない。たぶん、これは一種のパニックなのだ。

クリスマス、年末の支払い、正月の準備の時期だよと、メディアも経済(界?)も、私たちを急かす。周囲と一緒に進まないと、何かを失ってしまうような気分を周到に準備するのだ。

「山狩り」という猟の仕方がある。勢子(せこ)と呼ばれる多くの追手と、それに追われてパニックになり、逃げ惑う獲物を待ち構える複数の討ち手とが一体になって行う、大規模な猟だ。「クリスマス〜!」「おせち、大丈夫か〜!」というおどろおどろしい声や鳴り物に私たち(じゃなかった、動物たちだ)は動揺し、一目散に、とにかく皆と一緒なら怖くないと、狩人たちの思い通りの方向へまとまって逃げて行く。狩人たちにはその夜の大宴会がもう目に浮かんでいる。