グリザイユ

           グリザイユによる作例  水彩

グリザイユとは油彩画の古典技法のひとつで、灰色一色で明暗による立体感をつくり、そのあとで透明感のある色彩を塗り重ね、深みと重厚感を出す技法のこと。ベラスケス以後の厚塗り、不透明技法以前の、大ざっぱに言えばルネサンスまでよく使われた技法といえる。

それを水彩画に応用しよう、ということで描いてみたわけ。このチャレンジは自分としてはすでに何度もやっていることで、結果も分っているのだが、YouTube用にあらためて制作してみたんです。

ご覧のように、リアルな表現に向く。ファン・アイクのような表現を “リアル” と言っていいかどうかは異論のあるところだが、一般には “写実表現” の代名詞として知られている。そのような表現に向く方法ということ。
 けれど、それを水彩に応用するとなると、技法自体のメリット、デメリットが油彩の場合より大きく影響する。ひとつはグリザイユ(フランス語。直訳すると「グレーの油」)自体が、水彩画の発色を妨げるという矛盾を抱えてしまうこと。もう一つは、グレーが再び溶けだしてくる可能性がある、ということ。この2点のデメリットが大きいため、わたしはあまりこの技法を推奨することができない。メリットはリアルな表現に向くということ。

最近はアクリルだけでなく、CGにおいてもグリザイユという言葉は使われているらしい。ほとんどは、単にグレーで下描きをするという意味だけに使われているようだが、まあ、油彩の場合よりデメリットはむしろ小さいかもしれない。

「背景の工夫」の背景

              「オルガ・夏」  水彩、アクリル、色鉛筆

「(人物画の)背景の工夫」というテーマで描いてみた絵です。

背景に少し通常より凝りました。実際の制作時間も二日かかりました。正直言うと、やる必要もないことまでやっています。まあ、一つの情報サービスですが、「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という言葉を頭の隅に置きながら描いていました。

紙質が気になりました。アクリルを併用するので、特に高級紙でなくてもいいと考えたのですが、これが良くなかった。高級紙って、無駄な手間を省き、実際の実力以上に作品を良く見せてくれるんですよね。思うようにいかないと誰でもイライラしますが、描きよい紙はそのイライラがないだけでなく、次第に調子に乗ってくる、そんなところがあるんです。

最近は紙の高騰が凄まじい。この物価高の中で、趣味に割くお金を抑えたい人も少なくないと思います。良い紙を使いなさい、とは簡単に言えない世の中です。

10年を経て

「オルガの肖像」 水彩 2015

昨日は、これまで取ったはずの大量の写真データがパソコン上でまったく見つけられないので、プリントから少し使えるものを探そうと整理していた。そして、こんな作例が見つかった。おそらく、すでに一度はブログに載せているはずだけど、検索が面倒だから再録した。

細かいニュアンスと、立体感のない平坦な面との相性がいい。10年も前の絵だが、今も継続している部分と、その間に捨ててしまったテクニックとが、さまざまな想いを蘇らせた。今、自分は何をやっているんだろう、という自戒とともに。

今日はJAXAのイプシロンが気象観測衛星「みちびき」の軌道投入をライブで見ていた。成功してよかった。このあと、午後からは台風15号が東側から本州・関東に上陸するかもしれないという。どんなものにも “変化球” はあるものだ。