絵画教室の人々−2

野の草 水彩
野の草 水彩

※これは架空のお話。実在の人物とは何の関係もありません。

ある日、先生が薔薇を画題にと持ってきた。花を見るのは好きだが、描くのはどうも苦手だ。何より棘があるのが気に入らない。ちくちくと痛そうで腕も筆も動かなくなる。

先生は別に薔薇を描かなくてもいいとは言うが、他に何のアイデアも無いので薔薇を描くより道はない…。ところが、ところが、である。今日に限って何だか上手く描けるじゃない?ふふっ、だてに長年やってるわけじゃないって実力がついに…!思わず鼻歌が出そうになるのをこらえつつ、夢中になって描いてしまった。ふう、程よい疲れってこれよね。

次回まで花は咲いていてくれないから、一気に描けるところまで描くのが花を描くコツ。腕まくりをして、思わず前のめりになった時「あれー?それ私のキャンバスー」。スの音がスーッと伸びた。椅子の後ろに私のニューキャンバスが純白の美しさを放っていた…。

 

投稿者:

Takashi

Takashi の個人ブログ。絵のことだけでなく、日々思うこと、感じることを、思いつくままに書いています。このブログは3代目。はじめからだと20年を越えます。 2023年1月1日から、とりあえず奇数日に書くことだけ決めました。今後の方向性その他のことはぽつぽつ考えて行くつもりです。

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