桜は難しい素材

      「Sakura習作」 水彩

早いところではぼちぼち、「寒ざくら」ではない普通の桜も咲き始めているらしい。当地は桜の名所として毎年NHKなどで紹介されるが。今のところは梅が早春を謳歌している最中。桜の出番はもう2週間くらい後になるだろうか。

桜を「間接的に」描いてみた。正面からではなく、「側面」から。「桜」は西洋画スタイルの絵画制作者にとっては、かなりハードルの高い題材だ、と思う。描いてみると解るが、画面全体にぼーっとしたピンクの綿飴が散らばっているようにしか描きようがないから。

日本画家にとっての「桜」は必修科目であり、見方、表現法から評価・鑑賞の仕方まで、徹底的に考え抜かれ、制度化されて、日本人の心や記憶の中に深く染み込んでいる。描く側にも見る側にもしっかりとチャンネルが設定されているから、まるで子どもが「名作絵本」を母親に読んでもらうかのような安心感がある。そうした土壌の上にすっくと育ちのいい「名作」は存在しやすい。けれど、「洋画」には素材的にも断絶があり、従って、わたしの知る限り、洋画においては誰でもが知っているような桜の名作と言えるものがなさそうなのは、それが理由だと思う。。

というわけで、縷々弁解がましいことを述べたうえで、桜を間接的に表現することにした。どこかのロビーに腰かけている数人の人々。その背後の庭か公園に桜が満開、というイメージ。ガラス一枚隔てただけの空間だが、直接には手の届かない空間でもある。
 この中で案外手間ひまがかかるのが「椅子」。備え付けの同じ椅子でなくてはならないし、同じ角度だけでは平板になってしまう。ベタッとした長椅子なら手間は省けるが、視覚的に面白くない、など結果として椅子の下描きにかなりの時間を費やした。主題である桜は数分。サッサッと済ました。

「冬の日」をアップロード

3月7日 18:00 にアップしました

「人物スケッチー冬の日」をアップロードしました。2月は人物スケッチの機会が多かったので、ついでにYouTube用に2本撮った。教室で、個々に顔の描き方など指導するのもいいが、人物を描く機会が減るとそれとともに記憶が薄れてしまう。そんなときのために、既にいくつかアップしてあるけれど、それに「普段のスピードで描く」、早送りしないという新しい要素を加えてアップした。

ノーカット、ノーマルスピードで描くと、どんなに短くしてもビデオは1時間を軽く超える。つい最近まで、「YouTubeビデオの長さは10分以下、短いほど良い。長くても13,4分~20分以内」を目標に製作していた。ビデオの作り方などみるとそう書いてあったし、そんなアドバイスもあったから、初心者としてはそういうチェックリストを頭に置いて作っていたわけです。

でも、それは大変だった。物理的にも時間を膨大に消費するだけでなく、それが心理的にも作用し、無理な姿勢で描くなど、身体的な面にも不調が増えてきた。製作自体がだんだん億劫になり、ごく最近では、「最低でも月に1本」という気力さえ無くなってきた。それが反映されてか、視聴回数も多い時の1/3、1/4、1/5と減ってきた。

1月末に一週間ほど入院し、長い夜の時間にいろいろ考えた。セットのかたちも変え、編集の考え方も変えてみた。少なくとも身体的、物理的負担は半分になったような気がする。そのぶん他のことができるようになって、気持ちも若干軽くなった。これで視聴回数が増えれば改良大成功だし、増えなくてももう元には戻さずそのままやめる、という選択肢ができた。ルーティンに捉われず、変えてみることも大事なようです。
 
 

北風と太陽

        「乾いた花など」  ペン

「北風と太陽」というイソップの寓話のことは多くの人が知っている、と思う。どちらが強いかを互いに譲らない北風と太陽が、厚いコートを着て歩いている旅人を指し、「どちらが彼のコートを脱がすか競争しよう」という、あの話である。

国際社会を見ると、太陽はずっと遠くに行ったきり行方不明。北風だけがいくつも立ち上がり、お互いの強さだけを競い合っている。北風の吹きつける風の強さ、冷たさはイソップの時代よりはるかに進化し、AIを駆使して周到に仕組まれた作戦によって、一瞬にして旅人は凍ってしまう。

どちらが先にコートを脱がせるか、がルールだったはずだと弱い北風が言うと、「そんなルールなどオレには必要ない」と強い北風はその場でルールを勝手に変更してしまう。イソップの時代には普通だったそんな横暴を変えたいと、彼が作った寓話がむしろそれ以前の状態に戻ってしまったことに、彼はどんな言葉を発するだろうか。

今日は一日中強風が吹き荒れた。最近の日課になった自転車散歩も、出かけてはみたものの強い向かい風でさっさと退散してきた。けれどホトケノザは群がるように道の端を埋め、ところどころに水仙の花が揺れている。もう凍えることはなさそうだ。一昨日は「皆既月食」。すっかり忘れていたが、遠くにいったままだと思われていた太陽は、そんなところにひょっこり顔を出していた。