会話

なんとか生きている

L:最近なんだか声が変なんだ。

R:変ならまだマシ。俺なんか声が出ないよ。

L:そうだな。先っちょも切られちゃったしね。あれは枯れてたの?

R:死んではいなかった。でも神経がかなりやられていて、切られた時もあまり痛くなかった。でも、切られた後を見たら、結構瑞々しかったな。自分で言うのも変だけど。

L:僕もいま先っちょがそんな感じ。やっぱり切られちゃうかな?

R:いや、たぶんもう切らない。まだ生きてるってことが分かったはずだから。もう少し緑にアピールしてたら、俺も切られずに済んだかも知れないが、そんな余裕ない。

L:君が犠牲になってくれたんだね。どう?まだ傷は痛む?

R:ちょっとね。でも、すぐ塞がってくれたから。現金なもので、生きてると分かったら、アイツ急に優しくなって、毎日霧なんか吹くんだぜ。水だけならタダだしな。

今度は溺れるほど、くれなきゃいいけど。アイツら生き物への想像力ってものがないし、頭悪くてきちんと調べることもできないから。まあ、急にストーブの部屋などに連れていかれて、「熱死」させられないだけマシだけど。

繻子蘭のシュンちゃんから昨日聞いた話じゃ、あっちの部屋は20°以上もあるってよ。今の体力じゃ急にはついてけねえよ。

クジラのようなものを喰う-終了

「凛々しい」と口走った人がいた

外のまぶしい明るさのせいで、母屋の中は暗く感じられるが、周りはぐるっとガラス窓で、外の景色はよく見える。

中には誰もいない。一つの窓が開いていて、レースのカーテンが揺れている。上にいくつかの額がかかっていて、そのうちの一枚があの子どもたちが写っている写真のようだ。しかも、そこには父親、母親らしき人たちも。

なるほど…。この写真の中に、あの二人の女性を探せばいいのか。でも、それ以外の人はどこに?

近くの小さなテーブルの上に、白い、やや大きめのお皿があり、その上に綺麗な模様のハンカチがかけてあるのに気づいた。

ハンカチをこっそり持ち上げると、黒い蒸しパンがちらり。「クジラの…」かと思ったが、本当の蒸しパンだ。と思っているうちに、非常識にも、誰の許可もなしに既に半分も食べ尽くしている。

「それはマズイでしょ」と、内心「夢の演出家」に抗議する私の口の周りに、まるで私が悪行した証拠のように、やたらにベトベトとそのパンがくっつくのは何故なのだ!「おい、演出家!それって、変だろ?」

あとで考えると(夢の中の「あとで」っていつなんだ?)、それはどうやら「使命完遂」のご褒美であったらしいのだが、「使命」そのものの意味は特に無いようだった。

 

「クジラのようなもの」を喰う-3

ついでに子どもたちのことをまとめて言うと、この子たちはどうもひとつの血縁関係にあるようだ。よく見る、古い、既に茶色がかった白黒の「家族写真」に似ている。子どもの数が今よりずっと多かった昔の、どこかの家族の。その家族が、私と何か関わりがあるのか、今のところ自分にも判らない。

彼らはいつも同じ順番で、そう、まるで一枚の写真のように身動きもせずに、私に「使命」を言い渡したのだった(らしい)。

本題に戻る。悪戦苦闘したあげく、口を泥だらけにしながら、ついに私は一片の「クジラの…」を齧りとり、何とか強引に呑み込んだ。あとは元あったようにそこに放り出し、使命の完遂を告げるべく、口に泥をつけたまま母屋に向かって歩き出した。

もう少しだけ続きそうです。