
グリザイユとは油彩画の古典技法のひとつで、灰色一色で明暗による立体感をつくり、そのあとで透明感のある色彩を塗り重ね、深みと重厚感を出す技法のこと。ベラスケス以後の厚塗り、不透明技法以前の、大ざっぱに言えばルネサンスまでよく使われた技法といえる。
それを水彩画に応用しよう、ということで描いてみたわけ。このチャレンジは自分としてはすでに何度もやっていることで、結果も分っているのだが、YouTube用にあらためて制作してみたんです。
ご覧のように、リアルな表現に向く。ファン・アイクのような表現を “リアル” と言っていいかどうかは異論のあるところだが、一般には “写実表現” の代名詞として知られている。そのような表現に向く方法ということ。
けれど、それを水彩に応用するとなると、技法自体のメリット、デメリットが油彩の場合より大きく影響する。ひとつはグリザイユ(フランス語。直訳すると「グレーの油」)自体が、水彩画の発色を妨げるという矛盾を抱えてしまうこと。もう一つは、グレーが再び溶けだしてくる可能性がある、ということ。この2点のデメリットが大きいため、わたしはあまりこの技法を推奨することができない。メリットはリアルな表現に向くということ。
最近はアクリルだけでなく、CGにおいてもグリザイユという言葉は使われているらしい。ほとんどは、単にグレーで下描きをするという意味だけに使われているようだが、まあ、油彩の場合よりデメリットはむしろ小さいかもしれない。