恐山にて

恐山・花染めの湯
恐山・花染めの湯

一か月ぶりにまた下北半島・恐山へ行ってきた。

恐山には地獄も極楽も目白押しだが、本当の極楽は実は温泉ではないだろうか?建物の形にはなっているが、まあ露天風呂の延長のようなもの。恐山の山地内には無料で入れる温泉は現在4つ。山門を潜るとまっすぐ地蔵堂の方へ敷石の道を行く。中門を抜けたところに3つの湯屋がある。一番左に女湯と書いてあるが入ったことはない。

写真の「花染めの湯」はそこからずっと離れて、ポツンと人通りから見えないところにある。周りはまだガレたままで、ガスが噴き出したり、荒涼とした雰囲気だ。ここが恐山開山時からの最も由緒ある名湯なのだが、恐山がどんどん観光化し、宿泊施設などがやたらに建設され、それらの建物の陰に隠れてしまった。ちなみに名湯は昔のままの混浴である。地獄に男も女も関係ないのだから、当然と言えば当然か。

恐山に行って、温泉に入らないのは、魚釣りに行って一匹も釣らずに帰ってくるようなもの。しかし、殆どの人は釣ろうともせずに帰っていく。糸を下げるだけでも釣りではあるかも知れないが、釣れれば釣りは何倍も面白いものだ。暑い中、上り下りで汗びっしょりになって地獄を歩いた後は、やはり温泉は気持ちがいい。温度もぴったり。脚が自然に伸びていく。身体が勝手にほぐれていく。地獄、極楽はセットでこそ有難い。あの世へ旅立つ前の、つかの間の命の洗濯「老人バスツアー」から「極楽」をカットしては、ツアー会社も賽の河原の鬼同然。お湯に浸けて、ほんの数分でもしわを伸ばしてやりなされ。それが現世供養というものではありませんか?

ムラサキシャチホコ蛾

わが庭のイラガ

ムラサキシャチホコ蛾
ムラサキシャチホコ蛾

「ムラサキシャチホコ蛾」。6/30に下北へ出発する直前に、なぜか目の前に。初めて見る蛾だ。この蛾がなぜか最近人気急上昇らしい。確かにこの丸まった枯葉の迷彩塗装は現代的だし、ヘタな画家顔負けの立体感表現がすばらしい。なによりかっこいい。そいつが、下北への出発間際、まるで見送りのように出てきてくれた(ちょっと不気味な見送りでもあるが)。無毒なのも好感が持てる。シャチホコの名は幼虫がシャチホコのように尻を持ち上げる習慣があるところからきているらしい。ムラサキは高貴の尊称である。この蛾にはもう一度会ってみたい。

*この記事には後日匿名の方から「これはウンモンスズメです」というご指摘を頂きました。画像検索してみるとご確かに指摘どおり。匿名の方、ありがとうございました。記事自体はそのままにしますが、この蛾は「ウンモンスズメ」です。訂正いたします。

三沢航空科学館(青森県)にて

三沢基地のF-16戦闘機
三沢基地のF-16戦闘機

7月4日、下北からの帰り(6/30~7/4まで所要で下北に行ってきた)、三沢市の青森県立航空科学館へ立ち寄った。当日はもう一か所、斗南(となみ)藩記念観光村にも足を延ばした。寺山修司記念館も近い。

今日の話題は航空科学館。航空自衛隊三沢基地とフェンス一枚で隣接している。科学館から見て、自衛隊基地の奥に米軍三沢基地がある。着いたのは11時頃だったが(たぶん)自衛隊のF-16がひっきりなしに発進、急旋回等の訓練を繰り返し、爆音が響いていた。

旧陸軍双発高等練習機
旧陸軍双発高等練習機

見たかったものの一つは、昭和18年訓練飛行中に十和田湖に墜落した旧陸軍「一式双発高等練習機」。2012年9月5日、69年ぶりに湖底から引き上げられ、現在同科学館に展示中だ。

湖底から引き上げられたこの機体を見ていると、4人の搭乗員のうち一人だけ救助された少年飛行兵(17歳だったか?)の苦しさや、亡くなった3人の驚き、動揺、必死さ、無念さが何故だか伝わってくるような気がするのは不思議なこと。やはり戦争はいやだとあらためて感じた。