年の瀬だ

朝食兼昼食
朝食兼昼食

あっという間さえなく、時は過ぎる。入院で先延ばしした仕事を何とか処理するだけで年末になってしまった。年末の用事も溜まっている。

なのに年末だとなぜだかお酒が恋しくなる。お酒は諸刃の剣とはよく言ったもの。飲んでいる時は楽しい気分だが、夜眠れなくなってしまう。リラックスとストレスを一緒に飲んでいるようなもの。医者には特に止められてはいないが、睡眠かアルコールかでは選択の余地はない。

今朝は早朝コーヒーもそこそこに出かけたので、帰宅後の11時、昼食兼昼食。ご飯炊くのが面倒なので、駅近くでカレードーナツ1個買った。あとはヨーグルトとメイプルシロップ、コーヒー。

 

お菓子 / Sweets

お菓子 sweets
お菓子             sweets

あっという間もなく、退院から1週間。無理はしなかったが、ブラブラすることもなく、結構忙しい1週間が過ぎた。

退院後に備え、手術翌日から準備しておいたことが現実的には役にたった。けれど、今から考えてみるともっと深く入院を味わうべきだったようにも思う。年齢を考えると、これから何度か入院を繰り返すことになるだろうし、いろんな視点から(自己)観察できる良い機会を、普段の生活からの視点だけで過ごしてしまった。でも、良い機会だったと思う。

手術翌日、下の階の売店でチョコレートを一箱買った。病院食だけでは脳の栄養が足りないと思ったから。それを時々舐めながら、ベッド脇でパソコンに向かっていた。結局その一箱だけで満足し、追加はしなかったが、甘い飲料は何度か買った。

間食は殆どしない。あっても食べないが、何故かお菓子を見るのは好きである。綺麗な包み紙や洒落たデザイン、安っぽい高級感など、私にとってお菓子は、食べるというよりはデザインやイメージの原材料になりつつある。お菓子一つごとに、甘い夢を見ることができる。気分が向けば、食べてもみる。何だか市場調査みたいな食べ方だが、けれど面白いと思ったものは、ちょっとだけでも、必ず食べてみたい気持になる。

退院 / Discharge from hospital

good mornning
good mornning

退院の朝。朝日が向かい側の団地の白い壁から反射している。

何から何まで全て初体験の入院だったが、世の中は毎日こんなことを、川の水が流れるように、一瞬も止まることなく繰り返している。だが本当は、スーパーで野菜を買うのも、交通事故で間一髪助かるのも、全く同じ程度に稀有で、一回限りのことなのだ。人は誰も二度と同じことを繰り返すことはできない。時間は流れている。昨日の野菜は今日の野菜ではない。昨日の私は今日の私ではないのだ。

入院中、ピカソとマティスを集中して見た。彼らが新しい世界を切り開く作品を、次々と発表し始めたのはちょうど100年前。何となく解っていたつもりでも、見る度に新鮮な発見があるのは、さすが巨匠たちである。何度も見た筈の絵に、何度も初めて見る歓びを感じさせてくれる。

ピカソもマティスも、新鮮な野菜のようだ。毎日毎日新しく生まれ変わっている。流れる川のような力が作品から放射されている。幼い時は血となり肉となり、青年の時代には走るエネルギーとなり、今はまた愉しみとともに害悪を洗い流す薬ともなっている。新鮮な野菜を摂ることは、愉しみだ。

私も新鮮な野菜になりたい。      2016/12/3