鳩とピカソ/ Pigeon prefer Picasso ?

日向のテーブル
日向のテーブル

鳩に少し訓練するとモネとピカソの違いは分かるようになるらしい。訓練されると印象派とキュービズムの違いを認識し、初めて見せられたルノアールとブラックも違いも見分けるという。傾向とかスタイルとかのパターン認識があるってこと。モノクロにされても、一部を隠されてもちゃんと判定するというからすごい。

文鳥はもっと素晴らしい。ちゃんと好みがあり、ゴッホ好きの文鳥とかピカソ好きの文鳥とかがいるらしい。ピカソ好きは別に餌が与えられなくても、自ら求めてピカソの絵の前の止まり木に止まるようになるという。心理学で「感性強化」というらしいが、「自ら求めて」という行動が伴うことがポイント。現代日本人は1年間に一度も美術展、美術館に足を運ばない人が90%以上(だから感性強化が無い、いつまでも同じレベルでいる?)という或る調査データは私の認識と一致する。文鳥はピカソの絵をもっと見たいと暗に研究者に要求(行動)してるわけだ。文鳥は音楽にも厳しく、不協和音?の多い「現代音楽」は好みでは無いらしい。

籠の男と鳥

籠の男と鳥
籠の男と鳥

先日車を運転中、赤信号で停まった道端でカラスが鳩を食べていた。そいつが鳩を襲ったのか、車に轢かれた鳩を食べていただけなのかは分からないが、鳩がカラスの獲物の一つであることは10年前?のNHKの番組で知っていた。けれど鳩の方ではその後もまだカラスが天敵であるとの認識は無いらしい。

朝っぱらからカラスのけたたましい鳴き声で、目が覚めたことがある。我が家の前で、車に轢かれた猫の死骸に興奮したカラスが群がり、車が通るたびに威嚇か興奮の鳴き声をあげているのだった。カラスは雑食だが、都会ではより肉食化しているのは確か。それは私たちの残飯に肉・骨が多くなっているからだろう。

私たちの才能

つるこけもも 水彩 F6
つるこけもも 水彩 F6

サヴァン症候群という、かつては特殊な自閉症の一種と考えられていた、脳の機能障害がある。様々なケースがあるようだが、簡単に言えば見たままを写真のように記憶するという「症状」がよく知られている。

絵を描くための、形を正確に捉える訓練にほとんどの人が相当苦労する。私ももちろんその一人。そういう人たちから見れば、それは「障害」というより、羨ましいような「才能」に見える。ヘリコプターで上空から一目見たニューヨークや東京の風景を、大小の建物やその高さ、街路などをそのまま写真を見るように長大な紙にスラスラと描き出すことで超有名な、スティーブン・ウィルトシャーなどがその典型だ。日本の山下清もそうだったらしい。

ただ、彼らには新しい画材の工夫や、描画技術の向上というものは基本的に出来ないらしい。そのための理論的な理解や想像力といった、別の「脳力」が与えられていないからだと言われている。

正確なデッサン力も無く、色彩や明度の微妙な差を捉える才能に恵まれなくても大丈夫。観る人の99.9%はそのような私たちの仲間である。0.1%の眼力ある鑑賞者も、たぶん作者の表現しきれていないところまで深読みしてくれる、という楽観さこそ私たちの大いなる「才能」だから。