絵を描く理由

White rose (part) f8 watorcolor 2011/6/8

3月11日以来、ほぼ1ヵ月ごとに大きなショックに襲われ続けています。大津波の被災者に較べたら・・と思ってはみるものの、続けさまに起こる衝撃は私自身にとってはこれまで経験したことのないほど厳しいものばかり。

いろいろ対応策を考えてみるものの、今のところ焦りと苛立ちの中で、なす術もなく日を送っています。時間がなにか解決してくれるわけではありませんが、何も手に付かないというところです。

大震災の衝撃はとても絵など描く気持ちにさせてくれなかった。今は自分自身が精神的に安定するためにも描かなければいけないと思うものの、頭も体もやっとついていくという感じです。

でも、描けばたとえ一時的にでもほっとするのは確か。頭が動き始め、体もほぐれてくるのを感じます。私にとって絵は自分自身より有り難いような気がします。何とか描き続けて、絵に捧げられるような絵を描きたいものだと思っています。   2011/6/8

5月の梅雨入りと台風

アンスリウムなど  F6 watercolor 2011

5月の梅雨入りは案外珍しいのだそうだ。大抵は6月8日前後というから、1週間は早いということか。でも、ここ数年の記憶では、「・・・日にさかのぼって梅雨入りと宣言しました」という発表が多く、「さかのぼってって言われてもなあ」、という思いがある。

今年は桜を見なかった(灯りのない夜桜を一瞬だけ見た)。見る気にもならなかった。弘前(青森県)在住の版画家から「今年の桜は見る人が少なく、寂しかった」とお便りを頂いて、そういえば弘前の桜も、もう40年も見ていない、と思い当った。大好きな白モクレンも見るとも見ないうちに終わってしまった。そこに5月の、最大勢力925hpaの台風2号がやってきた。

子どもの頃も風が大好きだった。停電し、ろうそくを灯す台風の夜、外でごうごうと鳴る風の音がなぜか体に沁み込むように私をわくわくさせた。今も強風に木が揺れる様を見ると、その風を浴びに外へ飛び出したい衝動に駆られる。髪を揺さぶり、口や鼻に強引に入り込む風。目を細め、バタバタと音立てながら前のめりに風にぶち当たる喜びがあった。

埼玉は日本でも最も自然災害の少ないところだと、今度の震災でつくづく有難く感じた。最近は台風もめったに来ない。来ても殆どヨレヨレで、台風という名がかわいそうなやつばかり。不謹慎だが、沖縄や枕崎あたりの凛とした台風状況をテレビで見ると、思わず「台風頑張れ、ここまで元気で来い!」などと応援してしまう。

自然は友。一言でいえばそういうことか。震災は厳しすぎるが、大きな目で見れば、それが私達を育ててきたのかもしれない。幼い胸に響いた風の音は、体に宿る自然が外の自然と呼応する野性の共鳴だったのだな、と今になって解ってきた。  2011/5/30

ウサマ・ビンラディン暗殺?

2001/9/11のアメリカ同時多発テロの首謀者とアメリカに追われていた、ウサマ・ビンラディンがアメリカ海軍の特殊部隊に暗殺されたというニュースが5月1日耳に飛び込んできた。

場所がパキスタン・アボタバードと聞いて、大体の地理や気候風土の感じは分かった。さらに本当かな?という半信半疑の気持ち。これまでビンラディン殺害のニュースは何度も流されていたからだ。

アメリカ政府は替え玉疑惑を拭い去るため、顔写真を公表するか、作戦の残忍さを感じさせないよう非公開とするか、慎重に検討中だという。ネットではすでに「ビンラディンの死体」や「銃創のある血だらけの顔」が流れている。私もすでに見たが、確かに鼻の形や開いた口の形、さらにそこから覗いた歯の形など、ほぼ本人ではないかと感じた。アメリカ国務省内ではDNAで確認されたと公表している。しかし、写真などいくらでも偽造が可能だ。真相はまだ分からない。

アメリカの司法長官は「法律上は何ら問題ない」としているが、これに納得する人なんているのだろうか?勝手に人の国に軍隊を送り込み、(本人かどうかの確認は殺害した後にして)住民を殺し、証拠隠滅のために(実は軍事機密保持のため)乗ってきたヘリコプター1機を爆破し、逃走。これを、侵略でなくて他に何というのでしょうか?勝手に空母上で葬儀、水葬する。明らかな遺体の損壊(証拠隠滅)までやって、それで「法律上何ら問題ない」?アメリカ国内でさえ問題でしょう?パキスタンではアメリカ国内より自由に、好き放題やって構わないと言っているわけだ。

アメリカの自由主義は、アメリカ人の自由主義だと、いつも思わされる。が、おそらく日本政府は「歓迎」の意を伝えるに違いない。「犯罪者だから殺されて当然だ。」でも犯罪者になるのは裁判の後、ということは法治国家の常識だし、それがアメリカの国是であるはずだ。

CIAのファイルによれば、ビンラディンの皮膚の色はオリーブグリーンと記されているらしい。白を優越とする人種差別意識は完全にはまだ拭い去られていないのだと感じる。日本人は黄。微妙な色だ。美白は今や日本女性の国民運動となっているが、確かに日本人にとって白はある意味で特別な意識や美しさを持っている。でも、せっせと美白化して白人より白くなっても、アメリカ人のこの(心に沁みついた)壁を簡単には乗り越えられないと感じた。