描きたいように描ければ苦労はない

ガーデン                  garden

率直さ、無駄なものを付け加えない。絵画では大事なことだ、とはよく言われること。確かに。

とは言うものの、「何に対して」率直?「どれが無駄なのか?」と一歩進めば、いきなり五里霧中状態になる人が多いのではないだろうか。

同じように「好きなものを、好きなように描けばいい」という言葉も、無責任な言い方のようにも見える。確かにそうかも知れないけれど、いきなり「結論」だけ言われても困るのである。

「手ほどき」という言葉がある。初心者の手は「固く縛られているかのように」動かない。初心者は緊張しているのだ。意味のある動きや考え方を教えることで緊張感を取り除いてやれば、初心者の手はある程度勝手に動き始めるものだ。それを「ほどく」と言う。

不要なものを捨て、必要なものだけを率直に「描きたいように描く」こともそれに似ている。

結論から言えば「頭をほどく」こと。常識でがんじがらめになっている自分の頭を柔らかくするという意味になる。

しかし、それは簡単にできることだろうか?できない。「描きたいように描けばいい」と言う当の本人が悩むのは、自分の頭(こころ?)が、そう簡単に柔らかくも、思い通りにもならないからなのである。

本音 / Real mind

例えば、逆光                      From back−light

「本音を話す」と、受け取る側の反応は①「迷惑」、②「構わない」、③「嬉しい」と、大きくは3つに分けられるようだ。

①は、保っていた距離感を失う(動揺、一体感)②無関心、若しくは寛容、③自分を信頼してくれる(親近感、義務感)  等々reactionも色々で、かつ受け取る側の環境や性格が大きく左右する。

肯定的なのは少数派で、だから定型対応が無難というのが就職マニュアル。その結果どこでも「本音を言える環境を作るのが理想で、推進中。けれど現実には誰も対応しませんし、できる人もいません」という日本型矛盾環境が定着した。

一言でいえば、「他人のことなどに構っている余裕が無い」という「本音」がはっきり見えているのに、あくまで表向き対応をする、という「お面かぶり」、日本、アジア型「初対面」儀式マニュアルがそれ。

しかし、「最初のreactionの後の対応」こそが、最もアジア的、日本的であり、おそらく欧米人の想像を超える。「こいつは仲間か敵か」の二者択一しかない発想。日本人はだいぶ上手にカムフラージュできるようになってきたが、韓国、中国を見ると、(特に極東)アジア人としての我々の素質がどこにあるか、よく判るような気がする。

 

忙しい人 / Busy people

習作         study

青は心を落ち着かせる、と言われている。でも、きっとそんなに単純ではない。落ち着く色は、元々生存に有利な色に関係がある。

北極の氷の上では黒いヒグマは落ち着かないに違いない。保護色はとりあえず有利だ。暖かで穏やかな気候、豊富な食べ物の色も気持を落ち着かせる色だが、それらは同時に多くの敵を覚悟しなければならない色でもあろう。小さな哺乳類から始まった人類にとって、緑のバリエーションは落ち着く色の候補だろう。

これが美しい色だ、という特定の色があるわけではない。でも、その人にとって美しいと感じる色はあっておかしくない。あるいはその時に、という感じ方もあるかも知れない。

そんな色の中に居れば落ち着くか、といえばそれもまた、そうとも言い切れないような気もする。