行動展、新制作展を観た

矢元政行「船を造る」
矢元政行「船を造る」
「船を造る」(部分)
「船を造る」(部分)
「境界」
「境界」

日曜日、行動展と新制作展を観に行った。行動展の矢元さんの作品は毎年見るのが楽しみ。大好きな作家だが、会ったことはない。

「船を造る」という題なのに、近づいて見るとそれに相応しい工人風の人は一人もいない。何故か下半身丸出しでお尻を突き出していたり、お尻丸出しで走っていたり。要するにクレヨンしんちゃんが船の周りに100人以上集まっているだけとイメージすれば分かりやすい。なのに鋭いリアリティが感じられるのは、的確な批評眼と卓抜なテクニックによると思う。

もう一つは新制作展の彫刻会場。アカデミックな基礎を重視しながら、アカデミックな形態を脱しようとしてきた(と思う)、この会の彫刻部のありようをよく示していると思う。この力の「外し方?」が絶妙ではないだろうか。物理的、力学的な計算の上に、意表をつく(かつ、ワザとらしくなく、かつ肩の凝らない)カタチで重力との関係を解釈して見せる、その鮮やか(過ぎるかもしれない)さ。

どちらの展覧会も数百点が出品されているが、このレベルになるとさすがに幾つもない。が、必ずあるというのもすごいこと。

 

楽しそう / A good time

ヘラクレス、ネッソスとデーイアネイラ
ヘラクレス、ネッソスとデーイアネイラ

楽しそうだ。絵の中の男女、ではなく作者が。力むこともなく、さらっと、まるで口笛を吹きながら、「描き終わったら何を食おうかな」とでも考えながら描いているかのようだ。手慣れた仕事、1日に何枚も似たような絵を描き、ごく自然に一枚一枚が微妙に変化していく。描きながら、それもまた楽しんでいる。

買うお客も、こんな、今なら国宝級のこの絵皿に、隣の店で買った魚をそのまま載せていく。手軽さが楽しさだ。力まずお手軽に。およそ2400年前も今も真実は変わらない。2016/9/20