未完の完

題名不明     2000〜2005年頃 油彩 163×130cm

先週5月の気温と言われた木曜、金曜日のあとは、再び2月の寒さに戻るという天気予報だったが、今朝も引き続き暖かい。今年はもうこのまま春になってしまうのかも。と思ったら庭に雪がある!夜のあいだに降ったらしい。

春愁、という語がある。どこといって身体に悪いところはないのに、何となく気分が塞ぐ感じを言うようだ。今はまさに春愁。なんだか全てがゆっくり逆回転しているような、嫌な気分。心臓は問題ない、と思うが心に問題がある?

写真の絵は同じく最近剥ぎ取った作品。未完成のまま放ったらかしていた。どう仕上げていいか、分からなかったからだ。何年も考えても、分からなかった。今も分からない。おそらく、既に描くべきところは描いてしまった。感覚はそう言っているが、頭がついていけないのだ。自分でも理解できないうちに、絵は完成してしまった。絵とはそういうものかも。表現も面白い。

描きたいように描ければ苦労はない

ガーデン                  garden

率直さ、無駄なものを付け加えない。絵画では大事なことだ、とはよく言われること。確かに。

とは言うものの、「何に対して」率直?「どれが無駄なのか?」と一歩進めば、いきなり五里霧中状態になる人が多いのではないだろうか。

同じように「好きなものを、好きなように描けばいい」という言葉も、無責任な言い方のようにも見える。確かにそうかも知れないけれど、いきなり「結論」だけ言われても困るのである。

「手ほどき」という言葉がある。初心者の手は「固く縛られているかのように」動かない。初心者は緊張しているのだ。意味のある動きや考え方を教えることで緊張感を取り除いてやれば、初心者の手はある程度勝手に動き始めるものだ。それを「ほどく」と言う。

不要なものを捨て、必要なものだけを率直に「描きたいように描く」こともそれに似ている。

結論から言えば「頭をほどく」こと。常識でがんじがらめになっている自分の頭を柔らかくするという意味になる。

しかし、それは簡単にできることだろうか?できない。「描きたいように描けばいい」と言う当の本人が悩むのは、自分の頭(こころ?)が、そう簡単に柔らかくも、思い通りにもならないからなのである。