藤澤伸介展:作家と道具の深~い関係

個展会場から
出品作品から:2つの紙の切り方を見る
出品作品から:かたちをなぞる「切り絵」ではなく、切ることと描くことが融合する

包丁を持つと人格が変わるとか、ハンドルを持つ(運転する)と性格が変わるということは、冗談半分の話として時々口の端に登ることもある。けれど、わたしたちは常に自分が主体(上位)であり、自己の意志のもとにモノや手段(下位)を遣っていると教育されてしまったから、せいぜい笑い話レベル程度以上には扱われない。

けれど子どもの頃、ハサミを持ったら何でもチョキチョキ切りたくなったり、シャベルを持てばそこらじゅうを穴ぼこだらけにした経験は誰にでもあるのではないだろうか。切りたくなったからハサミを持ち出したのではなく、シャベルを持ったから(用もない)穴を掘りたくなったのではなかっただろうか。

アーテイスト(こういう呼び方は好きではないが)の多くは、そういった子ども時代のハサミやシャベルを一生涯手放さない人々のことでもある。一見ただの道具でも、年月を経てそれに習熟し、腕を磨き上げればそれらはとんでもない武器に変身する。というより、本来の姿を現してくる。それが藤澤さんのカッターだ。

あまりにも使いこんでいるために、ごく自然に彼自身がカッターになりきっている。こんなふうにカットしようと考えているのではなく、気づけばもう切っていた、そんな感覚。そうでなければ無駄のない鋭い「かたち」など生まれ得ない。極めて数学的な線でありながら、どこかに子どものような脱線の遊びを含んだカッティング。彼はもともと彫刻家だが、木を削る時には鑿(のみ)そのものとなり、時には粘土を付ける箆(へら)にもなる。画家でもあり、時どき筆になる。Cutter(切る人)でもあり、詩人のときは可愛い一本の小枝にもなる。フツーのようだが普通ではない。(下北沢:ギャラリーHANA)

※「切り絵」ではなく「切り紙」であることに留意してくださいね。

3週間ぶりのアップロードです

3週間ぶりにスケッチ動画をアップロードしました。本当は現場からライブのようなかたちで伝えるのが理想ですが、体調やその他の諸事情からいまのところはこんな形式で、とりあえず「練習」です。来月は青いカモメ絵画教室のスケッチ会も予定されています。参加メンバーの参考になれば嬉しいです。

それと、先週土曜日(10/22)でグループ展「風土に生きるⅨ」展が無事終了しました。会期中4回銀座の画廊に通いましたが、なんとか腰痛もそれほど悪化せず「無事終了」を実感したところです。

展覧会場にいくと、友人知人たちが近くのあちこちで個展、グループ展、団体展をやっているのでついでといっては失礼ですが、ついでに見て回ります。それで自分の絵が大きな影響をうけることはもうありませんが、「発表する意味」などについてはいろいろと考えます。

目が悪くなり、手指が固くなり、足腰が弱り、記憶力も減退し、体力も年々無くなってきます。若い時のような力任せの絵は描けなくなっているかもしれません。でも、そのぶん見えてきたものもずいぶんあります。これからは、それをどう表現するか、です。まあ、あと5年くらいは今の調子で描けるでしょう。そのあとはどうするか、その間に考えることにしましょう。

This is my best work, now.

出品作「Apple-田園」 F100 テンペラ

「風土に生きる Ⅸ展」(10人の作家グループ展、銀座・ギャルリー志門. 10/17~10/22)への出品作です。直前になって何かモニョモニョと不安になり、一部だけ加筆しました。後で見ると、ひとつも良くなっていない。やっぱり筆を擱くタイミングってあるんだね。

大作画面の下部って、誰にとっても描きにくいところです。しゃがんで描いても、寝転がって描いても、テーブルの上に水平に置いて描いても、描きにくい位置なんです。だからほとんどの絵は画面の下1/4~1/5は破綻なく収めるためのクッションのようになっているものです。左下の葉っぱはまさにクッション。そうしたくはなかったけれど、このタイミングでこのスペースでは、他に何のアイデアも出てこなかったのです。写真はその部分を描くため、テーブルの上に絵を(縦に)載せた状態です。

10人のグループ展ですから、会場ではそれぞれの絵が主張し合います。見る側からは、そのぶつかり合いがグループ展の真骨頂ということになるのでしょうが、描く側から言うと、皆さんもうベテランなので、そんなこと実はどうでもいいのです。悪い意味ではなく、それぞれが「不可侵」の自分の絵の世界を持っているということでしょう。それが世間とズレていようと、構わず突進するという其々からのシグナルです。グループ展の絵を見るとき、そういうことを頭の片隅に置いておくと、案外に作家からの素直なシグナルが受け取れるかもしれません。

10月17日(初日)、19日(中日)、22日(最終日)は会場にいる予定です(ちょっと遅れることがあります。ゴメンね)。腰の具合が悪く、歩行困難な時は休むかもしれません。その時もゴメンね。