色、使い過ぎ?でも、もっと使う

Apple-田園 (9月21日終了時)

今日は早起きして整形外科へ腰と指の腱鞘炎のリハビリ。早起きしようとしまいと、結局午前中の時間はクリニックで遣い果たしてしてしまう。待合室で待つ間、4人がけソファのわたしを間に入れた3人のおばあさん方は左右(どころか看護師を含む院内の半分くらい)顔見知りらしく、おしゃべりの途切れる時間が一瞬もない。自家産野菜を大きな袋に持ってきて、知り合いと交換ごっこなど、まるで「道の駅」。わたしは、彼女らの間で(出来るだけ小さくなって)ずっとiPadでエスキースを続ける。時々チラチラと「違和感のある存在」を見るような視線を感じながら。

一見すると、絵は昨日とほとんど変わらないように見えるでしょうが、2度塗り、3度塗りしているところもあって、全体としては結構順調に進んでいるんですよ。むしろ順調過ぎるくらいで、こういう時に限ってトラブル(例えば8月中のようなひどい腰痛とか)が起きやすいので、早めに進めておかないとヤバイことになる経験は豊富。

右上の葉っぱの部分は、普通に緑色にする予定だったが、テラ・ロサと白のピンクがあまりにきれいなので、「色だけ」このまま仕上げまで持っていくことにした。その反面で、いったん「保留」にせざるを得ないところも当然、ある。伝統的な油彩混合テンペラでは、途中で何度か薄い透明層を施して画面の堅牢化と色の統一感を図る(グラッシという技法)が、この絵ではそういう方法を使わず、ある程度バラバラなまま、途中で造形要素個々のチェックをしながら進めていく。それがわたしのテンペラ技法。

Apple-田園、制作中

下塗りです(地塗りは白)。色はテラ・ロサ(terra rosa)。「バラ色の土」という素敵な名前の顔料を鶏卵+スタンドオイル+ダンマーガムで作ったメディウムに溶いてテンペラ絵の具を作る。すべて天然素材で、かなり自由に自己流の絵の具が作れる。それをかなり乱暴に全面に塗る。下塗りはその後の色の効果を考えて塗るので、結構重要な役割を持っている。

テンペラ絵の具は少し経つと手で触れる程度に乾く。少し下の色が溶けだしてくるのを承知の上で白の絵の具をうすく重ねていく。白は不透明だから厚くすると下のデッサンが見えなくなってしまう。下のデッサンを残す方法はいくつかあるが、薄く塗るのが一番手っ取り早い。

下塗りは続く。この後も色は重なっていくから、今のうちに下のデッサンを描き出しておく。ここまでの作業はほとんど中腰の姿勢なので、身体的には今がいちばん大変。広いアトリエなら作業も楽しいのだけど。