紙の重さ

「顔」の習作  鼻梁の白さと背景の白さは同じですが・・そう見えませんか?

スケッチブックをよく使う。スケッチブックのまま横に積んだり立てて置いたりすることもあるが、描いたあとは一枚ずつ切り離してビニール袋に入れておくことも多い。どうするにせよ、空中に浮かべておくわけにはいかないから、何らかの形で積み重なっていくことになる。たまにそれらを移動するとき、紙の重さを実感する。

一枚一枚の紙の重さは大したことはない。たとえば高級水彩紙1枚300g/㎡として、F4サイズなら約0.08㎡、24、5gしかない。最近長い手紙も書かないが、大体封書1通くらいの重さだろうか。F6なら39~40g。大したことないが、それでも100枚になると結構ずっしりした重さになる(5~8冊相当)。スケッチブックはまとめ買いをすることが多い。少ない時で5~6冊、20冊、30冊というのも度々だ。100冊をまとめて注文したことがあるが、とても一人で一度に持てる重さではなかった。

これまでわたしが使ったスケッチブックの数は、大小合わせるとたぶん相当の数になる。そのページ数を考えると、スケッチの枚数はその十数倍はあることになる。そして、そこにかけた時間をかけ算すると、自分の生きてきた道すじがうっすらと見えてくる気がする。いい加減に描きとばしたものもあれば、長時間かけてじっくり描いたものもある。が、とにかく重たい時間が一枚の紙には詰まっているというわけだ。たかが24g、39gと笑い飛ばせない重さなのである。

ちなみに紙の値段もずいぶん高くなっている。バーゲンの時を狙ったとしても相当の出費になる。いま10号の水彩紙スケッチブックをネットで調べてみると、標準的な国産ワトソン紙(300g/㎡)1冊で6930円あたりが最安値らしい。ページ数は15枚。一枚あたり462円。世界的な評価のあるアルシュ紙スケッチブック(同。サイズは日本式と異なる)は16000円で20枚。一枚あたり800円だ。しかもほとんどの紙類は、年明けから昨年に続き値上げするという。お酒を飲む時間を絵を描く時間に振り替えれば、健康にも懐にも良いとはいえ、かなりの負担であることに違いはない。紙一枚の重さたるや、侮るべからずである。

試作

試作1
試作2
眼の周辺

昨日の試作2点。同じモデルさん。上はかなりラフに描いたものに、あとでオイルパステルなどを使って簡単な背景をつけてみた。下は意識してグラデーションなど使い、若干丁寧に描いたもの。

顔の向きも雰囲気も異なるので、一概に比べることはできないが、大きなタッチ(筆触)でザザッと描いた試作1の方が、なんだか伸び伸びしているように見えないだろうか。

実は、一番下の写真を見れば想像できるように、試作2は細かいところに少し細めの筆を使っている。試作1では一本の太い筆だけ、試作2は二本の筆というわけ。筆を使い分けるくらいだから、当然色の重なりにも気を遣うことになる。「眼の周辺」に何度も薄い層が重なっているのが見えている。

水彩は「紙の白さが一番大事な色」とも言われる。試作1ではそれが生かされている、ということになるのだろうか。2は逆光表現だからやむを得ないが、それだけ難易度が高く、かつ生き生きした感じが出しにくい、一般的に言えばあまり美味しくない視点だといえる。試作してみるといろいろなことが分かる。

やっとこさ

今日、12時55分配信

やっとこさ、配信できました。一ヶ月以上かかってしまいました。そのぶん作り込んだというわけでもなく、むしろミスばっかり見えて、自分でも情けない。

最初は一週間もあれば、十分な時間だと思っていた。単純に「スケッチを楽しみましたあ」という動画でいいと思っていたから。編集し始めると「鉛筆の持ち方」だの「地平線の探し方」、「遠近法」等の補足説明が必要に思えてきて、別ビデオを作ったり、参考作品(写真)を探したり、一本の完全版のイメージに向かうようになってしまった。

タイトルの通り、素直にそれだけやればいいし、見る方だってそんな余分のことまで挿入されるのは迷惑する。なのに、この無駄な“完璧主義?”は、我ながら、自家中毒なのではないかと思ってしまう。そちらは「ロングバージョン」としてそのままビデオにした。公表する機会はないかも知れないが、自分の愚を見るためにも保存しておいた(ため息)。