冬が来れば思い出す

オジロワシ舞う

「夏が来れば思い出す」ではないが、冬が来れば思い出すことも少なくない。

雪上に点々と続く動物や鳥の足跡。空から激突するようにドスンと体をぶつけて着地する雉(キジ)の丸い胴体のあと。ドタドタした駆け足(滑走)、飛び立ちの瞬間、やっと浮いた体重の下を微かに羽根の先が雪を掻いた痕跡。

立ち止まり、何か考えるように小さく回り、また歩き出す一本の点線。脚を踏み出すたびに、深い雪をほんの少し引っかける。それが転がって微かな線を残す。柔らかな窪みは、そこで狐が束の間の休息を得たことを示している。小さな動物が雪に半分埋まりながら、うねるように歩く。それらのイメージを、半分は動物になって追体験してみるのが冬の愉しみの一つ。葉を落とした灌木の茂みの中に、野生の梨が鳥たちに見つからず残っていたりする。それは天からのご馳走だ。

大湊線 / JR Oh-minato line

野辺地駅         上り八戸方面を見る

帰る日。午前中あたふたと病院に行き、車で野辺地駅まで送ってもらう。野辺地は雪。右の杉林は日本最古の鉄道防雪林。むつ市大湊に日本海軍の一大基地があり、そこへの輸送を最優先するためだ。野辺地は小さな町だが、青森方面と下北・函館方面、八戸・東京方面への重要な分岐点。

この防雪林は夏・冬の強い西風を防ぐために作られたもので、野辺地はこの地域では特に多雪な地域。ここから大湊まで陸奥湾沿いにおよそ50km以上続く、軍事林でもあった。今でも所々に残っているが、大半は切られ、陸奥湾を眺めながら列車が走れるようになっている。そのぶん、冬場の雪による運休や不通が増えた。下北方面へ冬に鉄道旅をする人は要注意だ(夏は強風)。

大湊線は日本で唯一の、他のJRのどことも繋がらない「はぐれ路線」。雪の無人駅がたくさんある。初めての人は列車(せいぜい2両だが)の乗り方、降り方をチェックしておかないと、乗れない、降りられないことがありますよ。

銃声 / Gunshot

銃声が聞こえる

1/6 今朝は8時頃から雪が舞い始めた。帰る準備のため、洗濯。ボイラー室にハンガーで吊るして、外に出ると一発の銃声。久しぶりに聞く。

最近は、猟をする人はほとんどいないと聞いていたのでちょっと以外だったが、正月の暇つぶしには確かに最高だ。カモシカ(天然記念物)、キツネ、タヌキ、クマ、サル、野ウサギなど、増えているのではないかと地元の人は言う。

猟をする人々も全国的に高齢化しているらしい。イノシシの害がよく報道されるが、それよりも撃つ方の足腰を先に心配しなくてはいけない状況だ。各地の猟友会を再組織化し、全国の獣害地区へ派遣するようにしたらどうだろう。

もちろん交通費、宿泊費などは支給しなくてはならない。肉、毛皮(動物愛護ですっかり悪者になってしまったが)もちゃんとした流通ルートを作り、ジビエ料理のレシピ開発などもして地元にも還元する。

観光産品、伝統料理・食品、輸出産品が重要視されるのは当然だが、環境を守る意味でも環境・観光産品はそれなりの意味があるのではないか。