ブラック・アウト

台風21号が、近畿、特に大阪で大きな災害を引き起こしながら北海道の西側を通過した。その直後の今朝3:08分、苫小牧に近いところで起きた震度7の大地震。「北海道胆振地震」と名付けられたそれは、地震そのもののエネルギーに比して、格段に大きな災害になりつつある。

北海道のほぼ全域、295万戸が一斉に停電するという、ブラック・アウト、未曽有の出来事。交通網のダウン。日本のインフラのシステムが巨大災害に対していかに脆弱であるかが、再び露呈した。この影響は東電福島原発事故のように、おそらくあとあとまでその影を引きずることになるだろう。大量のデータの喪失、機会の逸失などがその最たるものとなるに違いない。当面の経済的、物理的損失ももちろん莫大なものだ。

けれど、関東では何となく気持ちが薄い。報道は大きいものの、直接の死者数などが少なく見えるからかも知れない。台風21号による関西空港、近畿大阪のニュースがまだ続いている中、九州の地震、瀬戸内、北陸の風水害の復旧半ばの中で、どことなく災害に慣れっこになってしまった感じだ。けれど、北海道全体というのは、それとはまたスケールの異なる、決して慣れてはならない、恐ろしい災害だ。仮に関東全域が停電するという事態を想像してみると、それが半日も続いたら、世界の中での経済的ダメージの大きさは計り知れない。悪くすると四半世紀は遅れることになる。

せめて前向きに捉えるとするならば、首都直下地震への、リアルなシュミレーションであり、南海トラフ地震への備えを国民的規模で喚起することになる、ということか。「いずれ、必ず起きる」とされる、これらの地震災害への備え。けれど、一方で日本の政治・行政機構において何度も繰り返される、歴史的教訓の無視。「災害は常に盲点を突く」。今度の教訓を無視した時、日本は終わる、と考えている。

ボウズウニと呼んでくれ

今日は下北もかなり暑い。お昼前に24°だったから、最高気温は26°にはなったと思われる。昨日、突然漁協から、今日(13日)ウニの解禁をするという放送があった。

今年は海が荒れ、7月に1回しか解禁していないという。すると、7月18日に送って貰ったウニはその時のだったのだろう(7/18「ウニ食べました」、7/19「ウニの歯」)。通常なら7月後半から8月半ばに、ウニは産卵期に入る。資源保護の観点からいえば、この時期にウニを採るのは自殺行為に等しい。それでも解禁するのは、お盆で帰ってくる息子、娘たちにお土産としてウニを持たせてやりたいという親たちの圧力が強いということなのだろう。

お盆準備でたまたま知人宅へ寄ったら、ちょうど海から帰ってきたところだった。採りたてのウニを少しだけ貰ってきた(写真)。黒く見えるムラサキウニの隣は浅瀬に生息する、棘の短いバフンウニ。地元では馬糞などと汚い呼び方はせず、坊主頭の意で、ボウズウニと呼ぶ。ムラサキウニより味がきりっと締まり、微妙で、ずっと美味しいが、市場で見かけることは滅多にない。

このウニは子どもや潜れない女性でも十分に採れるので、漁協に対するお母さんたちの解禁圧力は相当なものだったろう。ボウズウニと、ムラサキウニを適当にミックスして食べるのが至極。水分を取って、塩蔵したウニも絶品である。

浜辺を歩く

昆布拾い
ハマナスの群生が復活してきた
かつての木造船

昨日(8/10)、実家まで浜を歩いてみた。約1.5km。写真など撮りながら30分ほど。目の前の砂浜は(といっても、波打ちぎわからいくらも行かないうちに磯が広がっている)ここから北へ約15kmほど続く、日本最大の砂丘、下北・猿が森砂丘の南端部(2012/9/1「砂丘湖」で詳しく紹介済み)。砂丘の北端からいきなり高さ3〜400mもの断崖絶壁となり、本州北東端・尻屋崎へと続く。天気が良ければ、そこから津軽海峡を挟んで北海道・恵山(えさん)が見え、それを背景に寒立馬の写真を撮ることができる。

南へはあと3kmほどで、やはり断崖絶壁の泊磯(とまりいそ。ミサゴ=魚を主食とする鷹、の繁殖地として知られる)。さらにその南で再び砂浜、低湿地帯となり、小川原湖を経て、三沢・淋代(さびしろ)に至る。三沢の先は八戸。八戸から南へ海岸はぐっと高く持ち上がり、三陸海岸が始まる。

台風13号の余波で波は多少あるが、ぶらぶらと昆布を拾う人がいる。ひまな人(ほとんど高齢者)がするのだが、なまじ勤めている人より高い年収になることもあるようだ。もちろん自然まかせだから安定などしない。実家の掃除と墓の草むしりをした。