保存された写真を見るとき

06/03(土)にアップロードしました

お元気ですか。寒暖の差が大きい時期、そのうえ雨が降れば線状降水帯だの、嫌な言葉が耳に定着してしまいました。わたしはちょっと疲れ気味、です。例によって、この動画にもかなりの体力、時間を費やしました。水彩の制作時間は1時間半ほどで、描くこと自体は(撮影のための無理な姿勢を別にすれば)楽しいのですが、編集がね。

パソコンの前にずーっと座り続けるのも確かに辛いけれど、その他にあるたくさんの用事をすべて後回しにする、そのことのストレスが夜、深い眠りを妨げるんです。

スイートピーは、教室用のモチーフをわたしの保存写真の中から探している時、その中から見つけたものです。写真って、撮っておくもんですね。“これ絵になるな”、パシャっとやってから描くまでに何年もかかり、そのカフェはもう存在しません。
 写真を探す過程で、過去の作品写真もあちこちからいっぱい出てきます。じっくり見ている時間はないのですが、見るたびにハッとする絵も結構あります。手前味噌で恐縮ですが、苦しみつつも、自分なりに(心の中を)正直にかたちにしていたことに、「自分、がんばっているじゃん」と声をかけてやりたくなります。あなたにもきっとそんな何かがあるんじゃないでしょうか。 

そういう絵を、たぶんもう二度と見る(見せる)こともなさそうなのが残念にも思いますが、わたしが死ねば結局ただのゴミ。その時はこれらの絵と一緒にわたしを燃やしてほしいと望みますが、社会の中で生きていれば、それもまた叶わぬ夢のようです。

ちょっと楽しいかも

テーブルの上のスィートピー(水彩・完成直前)

あなたに見てもらいたい1枚です。5/25のブログ「ストレスのない絵」で使った3枚の写真のうちの1枚をモチーフに、新たに試作してみましたがどうでしょうか。2枚目ということで少し慣れ、人工照明下の花を描くという、制作の意図がはっきりしてきたように自分では感じました。

こういう店内照明下での花を描いたことはあまりなかったのですが、その照明の中で実際に描いたら、色のコントロールがおそらくできません。写真だからこそ描けるモチーフでもありますね。

もう一つの狙いは、小さな花が密集している状態を描くことです。白い花も紫のそれも、完全な花のかたちは一つも見えません。こういう群がったかたちの花や情景はたくさんあるので、それを描くための練習でもあります。

天井からぶら下がるタイプの照明をまだ描いていませんが、それは白い絵の具を混ぜて描くつもりです。前作ではマスキングを使っています。そういった技術的な興味もありますが、自由な(まだ不十分ですが)筆遣いそのものを楽しんでいます。

絵画のイマジネーション

編集中のビデオから

あなたが絵を描いている人だとしましょう。あなたの絵を描く頻度はどれくらいでしょうか。ふだんは描かないが、旅行に行くときは必ず小さなスケッチブックを持っていく人。月に1枚くらいは花やペットなどを描く人。一年または数年に一枚くらいだが、興が乗ってくると一度に十枚くらい描いたりする人。絵画教室や講座に通っていて、定期的に描く人など、きっとさまざまな絵画ライフがあると思います。

満足度100%に描けることはないとしても、半分の50%以上は、描いたこと自体でも満足できるでしょう。でもそれだけでなく、たとえば旅先での一枚のスケッチは、もしも時間切れで未完成のままだとしても、それを見るたびに前後の出来事までをも記憶の中に湧きあがらせてくれる、自分だけの魔法の箱を作ったようなものでもあります。あなたもきっとその蓋を開けるたび、不満足だった残りの部分を補う以上の愉しみを密かに味わったことがあるに違いありません。
 (旅先でのものに限らず)そのようなスケッチを、箱の中だけに閉じ込めておくのはちょっともったいない気はしませんか?もしかすると、それらのスケッチはもっと頻繁に外へ出たがっているのかもしれませんよ。

スケッチをそのまま、新しく大きく描き直してみた経験もきっとすでにあるでしょう。そして「やっぱり現場でなくちゃダメだね」とか言って、そのままクルクルと丸めてどこかに押し込んでしまったかもしれませんね。ある意味でそれは当然なのです。
 一枚の絵・スケッチには、それぞれひとつずつ「絵画のイマジネーション」が宿っています。同じイマジネーションを“使いまわし”することは、絵画自体が「拒否」しているんですよ。“『わたしだけのわたし』にして” と絵があなたに要求しているんです。あなたはそれに応えなくてはなりません。どうやったら応えられるか、ちょっとプレッシャーですよね。

ひとつヒントをあげましょう。①モチーフ(題材)は変えないこと ②「魔法の箱」の中をもう一度覗いてみること。きっと何か大事なことが見つかります ③それをモノではなく、たとえば「色」で表現してみること の3つです。スケッチではモノだけしか見ていないことがよくあるものです。モノはまだサナギ。あなた自身の記憶の何かと結びついて、はじめてイマジネーションになるのです。羽が生え、飛べるようになるのです。魔法の箱は「奇跡の箱」でもあるんですよ。