ちょっと楽しいかも

テーブルの上のスィートピー(水彩・完成直前)

あなたに見てもらいたい1枚です。5/25のブログ「ストレスのない絵」で使った3枚の写真のうちの1枚をモチーフに、新たに試作してみましたがどうでしょうか。2枚目ということで少し慣れ、人工照明下の花を描くという、制作の意図がはっきりしてきたように自分では感じました。

こういう店内照明下での花を描いたことはあまりなかったのですが、その照明の中で実際に描いたら、色のコントロールがおそらくできません。写真だからこそ描けるモチーフでもありますね。

もう一つの狙いは、小さな花が密集している状態を描くことです。白い花も紫のそれも、完全な花のかたちは一つも見えません。こういう群がったかたちの花や情景はたくさんあるので、それを描くための練習でもあります。

天井からぶら下がるタイプの照明をまだ描いていませんが、それは白い絵の具を混ぜて描くつもりです。前作ではマスキングを使っています。そういった技術的な興味もありますが、自由な(まだ不十分ですが)筆遣いそのものを楽しんでいます。

絵画のイマジネーション

編集中のビデオから

あなたが絵を描いている人だとしましょう。あなたの絵を描く頻度はどれくらいでしょうか。ふだんは描かないが、旅行に行くときは必ず小さなスケッチブックを持っていく人。月に1枚くらいは花やペットなどを描く人。一年または数年に一枚くらいだが、興が乗ってくると一度に十枚くらい描いたりする人。絵画教室や講座に通っていて、定期的に描く人など、きっとさまざまな絵画ライフがあると思います。

満足度100%に描けることはないとしても、半分の50%以上は、描いたこと自体でも満足できるでしょう。でもそれだけでなく、たとえば旅先での一枚のスケッチは、もしも時間切れで未完成のままだとしても、それを見るたびに前後の出来事までをも記憶の中に湧きあがらせてくれる、自分だけの魔法の箱を作ったようなものでもあります。あなたもきっとその蓋を開けるたび、不満足だった残りの部分を補う以上の愉しみを密かに味わったことがあるに違いありません。
 (旅先でのものに限らず)そのようなスケッチを、箱の中だけに閉じ込めておくのはちょっともったいない気はしませんか?もしかすると、それらのスケッチはもっと頻繁に外へ出たがっているのかもしれませんよ。

スケッチをそのまま、新しく大きく描き直してみた経験もきっとすでにあるでしょう。そして「やっぱり現場でなくちゃダメだね」とか言って、そのままクルクルと丸めてどこかに押し込んでしまったかもしれませんね。ある意味でそれは当然なのです。
 一枚の絵・スケッチには、それぞれひとつずつ「絵画のイマジネーション」が宿っています。同じイマジネーションを“使いまわし”することは、絵画自体が「拒否」しているんですよ。“『わたしだけのわたし』にして” と絵があなたに要求しているんです。あなたはそれに応えなくてはなりません。どうやったら応えられるか、ちょっとプレッシャーですよね。

ひとつヒントをあげましょう。①モチーフ(題材)は変えないこと ②「魔法の箱」の中をもう一度覗いてみること。きっと何か大事なことが見つかります ③それをモノではなく、たとえば「色」で表現してみること の3つです。スケッチではモノだけしか見ていないことがよくあるものです。モノはまだサナギ。あなた自身の記憶の何かと結びついて、はじめてイマジネーションになるのです。羽が生え、飛べるようになるのです。魔法の箱は「奇跡の箱」でもあるんですよ。

ストレスのない絵

Cafe のスイートピー(水彩)

だいぶ前、教室の帰りに数人とコーヒーを飲みにデパートの近くのカフェに寄ったとき、テーブルの上にスイートピーがグラスに入っていた。正面のガラス窓に暖かみのある照明が映り、その情景がきれいだったので写真を撮っておいた。

そのうちの2枚を合成して描いてみた。YouTube用のビデオを作るために、やや無理やり写実傾向、技法解説の方向性を持った水彩画を描くことが多くなったが、直感的で、言葉で説明しにくいような、こんな絵を描くとなんとなくホッとする。というよりストレス解消になる。正直、YouTubeにアップすることそのものもまだまだ強いストレスではあるが、その方向の絵を描くのもそれに劣らないストレスになっている。

描きたいものを描けばいいはずだが、今のところそれでは視聴者がほぼいなくなってしまう。何度か小出しにテストしてみた結果がそう。いつまでも必ずしも受けないわけではないとも思うけれど。YouTubeを見る、物言わぬ人々の要求はなかなか厳しい。それでも、少なくともあと半年はもう少しそんなストレスに耐え、どんなものでもサラサラっと描けるようになろうと思っている。そのプレッシャーをテコに、私自身の技術力もちょっとはあがりそうな気もするから。