過信

     「夏の池3」  水彩

一昨日の「分かったような気になる」の続き、かな。「過信」というより「思いこみ」に近いかもしれないが、まあそんなところ。

身体が傾く。脚で踏ん張る。止まると思った瞬間になぜか支えきれずに投げ出されてしまう。とっさに手をつく。これで止まると思ったまま、地面に顔をぶつけてしまう。だいぶ前のことだが、自転車で車をよけた際の出来事。要するに、筋力低下の話だが、自分の頭の中では(だいぶ昔の)体力に自信があり、それが過信になっていることに気づかない、というどこにでもあるようなエピソード。

でも、残念な話ばかりではない。今だって、これまで出来なかったことが出来るようになることもある。何十年も描いてきた絵の中でもそう。気がつかずに過ごしてきたことに、今になって気づき、練習してできるようになる、という経験を最近でもする。パソコンも日々アップグレードされ、それについていくこと自体に不信感を持ち始めたのに、やってみたら自信回復ということもないわけではない。 

これは「気持の問題」ではない。気持だけでは「過信」になりやすい。実際に出来て「自信」にすること以外にない。若い人が100やれば、自分にできることは10以下かも知れないが、それはやむを得ない。過信禁物である。大けがをする。

分かったような気になる

「デコイつきの水指」  水彩、アクリル

分かったような気になっているのに、実はよく解っていないということがよくある。試せるようなものなら、試してみるとそのことを実感する。見えているのに見ていない、声は聞こえているけど聞いていない。文字は読んでいるけど理解はしていないってことですね。

それに老化が加わると一層厄介だ。眼が悪い、耳が遠いために「〇〇だろう」という憶測が入ってくるし、アップグレードされていない古い知識、これまでの人生で積み重なった勘違いや自分本位の記憶が、頑固さに変質しているのに自分では気づかない。本当は怖いことだが、毎日を知らぬが仏で過ごしている。

そのことを思い知らされるのが、事件・事故に巻き込まれたとき。あるいは何か大きな転機に立った時だろうが、それはもう恐怖でしかない。そこまでではないが、先日パソコンでトラブルがあった時のこと。
 いくつかのファイルのバックアップができない、と表示が出た。onedrive 経由でクラウドに保存するようにというメッセージ。これまでもonedrive では何度も痛い目に遭っているから出来れば使いたくないが、microsoft としてはできるだけ使わせたい。渋々、簡単そうな文言に釣られて、きちんと理解しないまま勝手な解釈でやってみた。やっぱりとんでもないことになってしまった。編集中のビデオの音声データや、全然関係ないと考えていた写真や、ドキュメントなども含め、デスクトップも持っていかれてしまった。
 結局自分ではどうにもできず、息子に Help ! データを失わないよう気をつけながら、小一時間かかって回復してくれた。自分一人では絶対に無理。少なくとも用語の意味とか、その辺のところからやり直さなくてはならなかった。分かったようなふりをした、痛いツケ。

ちゃんと分かるということは大変なこと。何度もやり直せ、逆からでもできる。そのくらいになって、はじめて「分った」と言えるのかも知れない。分ったと言えることなど、片手に足りない(5個もない)ことが、よく「分った」。

接点

「オウムガイ、酒器とシンビジウム」   水彩 F6

ここしばらく、YouTubeにビデオをアップしていなかったことは先日言いました。忙しかったのもあったけど、それ以上にヤル気が起きなかったからだ、ということも書きました。でも、水彩は続けていたんです。

教室もあったから当然と言えば当然なんですが、こっちの方はやる気があったんです。ですから、「何にもする気がしなかった」というのは、ちょっとオーバーでした。

なんで水彩にヤル気が出たかというと、「夕焼け」を描いたことがキッカケです。水彩ではグラデーションと滲みが一番水彩らしいと感じられている、と思う。じゃあ、何が何でもできるようにならなくちゃダメじゃん!そう考えてやってみると、「自分が思うほどには」うまくできないんだ。100%、いつでも完ぺきなグラデーション、滲みができるようになるにはどうしたらいいかな、なんて考えたら、ついつい連作することになったというわけです。

そいで、グラデーションと滲みをテーマのひとつにした動画「夕焼けを描くー水彩」を制作してみたんです。やってみて、グラデーションと滲みが “ヘッタクソー” だと自覚をさらにあらたにしました。水彩でも油彩でも、細かく描くことはいくらでもできるが、コントロールの効きにくい滲みこそテーマだ、と目下の課題にしました。そして、これを油彩的にはどう展開できるか、ということも考え始めたら、とりあえず無気力状態でいられなくなってきたように思うんです。無気力が悪いと言ってるわけではないんですけどね。