シェルターの男(習作)

シェルターの男  f40 Mixed-medium 2010

何枚目かの「シェルターの男」である。最初の「シェルターの男」は、防波堤のような、コンクリート状の壁の背後にうずくまっていた。手、足のあたり、頭部だということは分かるが、その手が何かを持っているのか、胡坐を描いているのか、足を投げ出しているのか、顔らしきものが感じられるが、それがどちらを向いているのかはっきりしない。それが第1作だった(2010秋)。

やがてシェルターがカプセル化し始めた。カプセルは外界から自分を守る、あるいは他と孤絶するためのものだが、カプセルの中の逞しい男はどう感じているのかは分からない。

「男」と書いたが、本当は女なのか不明である。いずれにしても、あまり愛嬌のありそうな感じは無く、人の形はしているが、少し野性動物に近い感じである。とすれば、このカプセル様のものは実はカプセルではなく「檻(おり)」なのかも知れない。誰かが閉じ込めたのだろうか。

今から30年くらい前、「檻」というシリーズを描いていたことを思い出した。

カプセルー2

Capsule-2 f6(part) Mixed-medium

カプセルの表現バリエーション。形よりむしろメディウムによる表現の違いなどを試している。

カプセルのコンセプトは明快なのだが、もっと生(ナマ)の、というか・・考えているレベルより下を掘り下げる感じが欲しい。メディウムの研究などではどうにもならないのは分かっているのだが、まずは感覚レベルを、もう少しリハビリして元に戻さないと話にならない。このようにチマチマ、チビチビやっていてはゴールは遠のくばかりだが、止めたらそこで終了。今はチマチマ、チビチビ続けるしかない時期のようなものだと、納得するしかない。

カプセル

Capsule f4 Mixed-medium

「新生」への手探り?

どんな動物でも植物でも、間近によく見ると、不思議で美しいものだ。人間も同じだが、あまりに傲慢で辟易するようになってきた(それでもやはり面白く、描かざるを得ないモチーフだが)。

最近は美人、美男(もともと興味はないが)より、グロテスクなもの、野性的なもの、動物的なもの、巨大なもの、拒絶的なもの、神的なもの、そしてそれがすべて一つになった、新しい生き物、「新生」を描こうとしているらしい。自分でも、まだ掴めないでいる。そこが面白いのかも知れない。

※グロテスクなものと美しいものとの間には、違いなど全くない。その時々の基準とそのずれ幅の違いだけ