「改善実行レポート」-11日目

「西洋梨」 2020/11/28 ペン・水彩

意味なく歩くことは、生命体の原則に反する。餌が豊富にあればどんな動物だってぐうたら寝ているに違いない。わざわざ腹を空かすためにせっせと歩くなんて、単に危険を増やすだけ。美味しいものを目の前にして、半分でやめておくのも同様である。特に日本では、いつ大地震や豪雨に襲われて、着の身着のままで逃げ出さなければならなくなるかわかったものではないのだから、なおさらである。

メタボ予備軍と判定されたこと、運動と食事の「2週間改善実行レポート」を課されたことはすでに書いた。今回は自分なりに、少しは運動も積極的に取り組んでみようという気持は最初からあったが、それでも心の中にはこんな論理もないわけではなかった。

ところが、不思議なことに「万歩計」をつけるだけで、歩く意味がどうこうというより、なぜか理屈抜きに歩数を増やしたくなるのである。「数字の魔力」か、あるいは万歩計のなかに人を洗脳する仕掛けが隠されているのではないか、と疑いたくなるほど。もしそうなら大勢の人が毎日せっせと歩く理由もわからないではない。万歩計をつけ始めて、すでに3回も1万歩越えを達成してしまった。我ながら驚愕である。

それどころか、2日も続けて早朝ウォーキングまで敢行するなんて、やはり頭がおかしくなったのではないか!早朝ウォーキングなんて、少なくとも5年以上前からやったことはない。毎朝、目が覚めてからしばらくの時間、ボーっと考え事をする習慣がある。大事な時間でもあるが、ボーっとしながら歩いたら一石二鳥?なんて虫のいいことを考えた。二兎を追う者は一兎をも得ず、ということもあるんだけど。まあ、3日は続かなかったから、三日坊主にはならなかったが。

周辺知識

「西洋梨」(制作中) 2020/11/28 ペン・水彩

「周辺知識」とは、たとえば「自分も油絵を描けるようになりたい」ということがメインだとすると、「展覧会情報」とか、「画材の知識」「あの人も絵を描いているんだって!」「あそこの画材店が安いよ」などなど、のことです。

「周辺」という語感から、知らなければ知らなくてもいい知識、雑知識の類に思われがちです。けれども、実際上は「周辺知識」の大ピラミッドの上に、ちょこんと「メインの知識」が載っているイメージです。「油絵」なら、展覧会情報など知らなくても、絵を描くことはできます。けれど、パソコンではせっかく高いソフトを買ったのに、「周辺知識」がないと、ほとんど使えないということを毎日のように体験します。

「常識」が違うといえばいいのでしょうか。油絵を描いたことがなくても、水彩画ならやったことがあるとか、身近に油絵を描いている人がいる等々、なんとなく見よう見まねで類推できる、アナログの部分があるのですが、デジタルになるとそれが全然通用しない、という感じなのです。パソコンでも慣れてくると、ここはこういうふうに考える(処理する)という常識ができるようですが、慣れないといつまでもキーボードの前で立ち尽くすことになってしまいます。

どうしたらいいのかと聞けば、なんでも適当にやってみればいい、と返されてしまいますが、何をどうできるのかの見当さえつかない状態だから、「適当に」などできるはずもない。ほかの人はどうやっているのか、わからないことをどうやって調べたらいいか、そこに行きつく前に諦める人もいそうな気がします。でも、とにかく、そうやって周辺知識を少しずつ増やしていくことが、まずはパソコンを知ることになるようです。同類の方々、めげずに一個ずつ、知識を積み重ねていきましょう。

「ほうとう」を食べた日

昇仙峡 2013

パソコン上で資料を検索中、古いスケッチを見つけた。絵画教室の数人と日帰りで昇仙峡(山梨県・甲府市)に行ったときのものだ。同じ構図のもの、中央の水面だけのものなど4枚ほどあった。

構図も面白かったが、何より水面の美しさに眼を惹かれた。以後、何枚も水面の泡立ちや、流れていく小さな渦を、明るい水面、暗く深い水面などを中心に描くようになった。そのきっかけになったのかもしれない。

何より、「元気だったんだなあ」と思う。この場所までは、きっと細い山道を数十分は歩いたのではないだろうか(ほとんど忘れてしまった)。帰り際、川べりの食堂で名物の「ほうとううどん」を食べたことはよく覚えているが。

身体が元気だと、感じ方も元気になる。そんな気がする。コロナになんか負けていられない。また外でスケッチしたいと思う。