シルバーポイント

「貝がらと小瓶」 シルバーポイント

シルバーポイントとは「銀筆」のこと。といっても一般の人にはたぶん分からない、と思う。純銀を、それより硬いものに擦りつけると、削れてそこに付着する。それが酸化して黒ずみ、鉛筆に似た黒さになる。先端を鉛筆の芯のように加工した銀の棒を使い、自然な化学変化を利用して絵を描くこと、道具、作品をまとめてシルバーポイントと呼んでいる。
 なーんだ、鉛筆の代わりか、ではない。銀は高価なうえ、酸化にも時間がかかる。鉛筆(黒鉛)のように安価、簡単、便利には使えないのである。そのうえ、「下地」という面倒なひと手間が必ず必要だ。逆に言えば、「鉛筆」が文明の道具としていかに優れた発明であったかも実感する(現代ではそれすら不要になりつつあるけれど)。

酸化して黒ずむのは銀に限らない。鉄もアルミも、他にも酸化する金属はいっぱいある。それらを使った描画(材)を総称してメタルポイントといい、それはそれとして使用されているらしい(アルミホイルを丸めて擦れば絵が描けるってことですが)。けれど、画材としてシルバーポイントだけが特別に人気があるのは、なんと言っても「銀自体の持つ気品」ゆえでしょう。腐っても鯛、“錆びても銀”なのだ(喩えが不適切ですか?)。ちなみに「金筆」は存在しないはずです、よね?

写真の絵は制作後まだ日数が経っていないうえ、風が通らない状態にあったので酸化が進んでいない。つまり、まだ“ナマ”な状態にある。酸化したあとが楽しみですね。慌ただしい現代、こんな超スローな制作自体が贅沢な時間なのではないでしょうか。

東京の平和

「東京の水辺」 SM ペン
「東京の水辺2」 SM ペン

昨日(6/22)アメリカ軍のB2爆撃機がイランの地下核施設にバンカーバスターという特殊な大型爆弾を投下し、イスラエルー-イラン戦争に参加したことが明らかになった。いろいろと理屈を並べてはいるが、要するに「勝ち戦」に乗りたいトランプ氏の個人的な欲望が半分だろうと想像する。

ロシア-ウクライナ戦争も同様で、攻勢をかけているのはロシア、プーチンだからそちらが勝ちそうだと単純に見えたのだろう。だからサッサとウクライナに白旗を掲げさせようと、いろいろ屁理屈を捏ねてゼレンスキー氏に圧力をかけ続けたのだろう。
 彼にとって「大義」などはどうでもよく、「勝ち馬に乗らなきゃ損だ」ということが至上の命題なのに違いない。力のあるものが周囲を従わせる。それが彼にとっての「平和」の姿なのだろう。それが彼の「グレート・アメリカ」なのだろう。恐らく歴代で最も愚劣な米国大統領として歴史に名を留めることになると思う。

水辺のスケッチのことについて書こうとしていたが、気持ちが逸れてしまった。