暗い風景が苦手

バルーンフェスティバル(水彩)

先週土曜日のバルーンフェスティバルの様子を、一部変えて水彩に描いてみた。

一見単純な構図で簡単そうに見えたが、描いてみると意外に難しい。まず、画面を(クリアーな感じで)全体に暗くすること、つまり夜の感覚を描くことが技術的にも難しい。そして、いくら暗くても白い気球は白く見えなければならず、左の赤い気球は赤く見えなければならないという、「明度と色」の使い方など。

地面の明るい光やバーナーの燃焼の明るさなどが難しいのでは、と多くの人は想像するかもしれないが、それは実は大したことはない。むしろ、中央のバルーンの赤から青への色のストライプの彩度、気球のつなぎ目の線の表現など、単純だが色を識別する能力とそれを適正に描写する能力とのコンビネーションが要求される。小さい画面(F4)なのに3時間もかかってしまった。

これは油彩で描く方がずっと楽に描けそうだ。微妙なグラデーションのコントロールは、油彩の方が水彩よりはるかに合理的にできる。もう一つ考えたのは、黒い紙に色鉛筆で描くこと。これも制約はあるが、まあ、こちらも水彩よりは楽に描けそうな気がする。
 考えてみると、特に透明水彩は絵の具を薄く溶き、下地の紙の白さを生かすことで成り立つ技法なのだから、暗い風景が苦手なのは当然といってよい。だからといって、諦めていいというわけではない。描けばできるようになる、とも思う。

渡良瀬バルーンフェスティバル

風のため、イリュージョンへの参加は8~9機だけ。でも、ロマンティック

昨日、午後から栃木県渡良瀬遊水地で開催中の「渡良瀬バルーンフェスティバル」に行ってみた。車で約1時間ほど。しばらく出かけていなかった渡良瀬の縁をドライブ。以前は結構な頻度で通ったところでもあり、広々とした風景がなんだか懐かしい気がした。

日本屈指のバルーニスト(バルーンに乗る人たちをそう呼ぶらしい)たちのレースなんだそうだ。しかし、風が強く、午前中のレースは中止。現地に着いたら、午後のレースの中止も発表された。夕方18時までの「バルーン・イリュージョン」までなんにもやることなし。寒い中、ただぼんやりと広い空と枯草を眺めているだけ。でも、それだけでも十分良い。

バルーンレースはホンダがスポンサーらしく(熱気球ホンダグランプリ)、会場では車の展示会もやっていた。他にやることないから、買う気もないのに(買えない)車内を見たりして時間を過ごした。軽自動車も3台あり、そのうち電気自動車に至っては350万円以上もするという。運転席以外すべてフラットにできる(ロッドなど不要だからね)のが凄い。完全なベッド付取材車として使えるね、と言ったら「このスペースにホンダの125ccバイクがピッタリ入ります」。固定金具もある。さすがはホンダ、バイクを乗せるという発想は「らしい」というしかない。出店も出て、ケバブの美味しそうな匂い。芋焼酎も売っていて、試飲もあったようだが帰りも運転だしね。

暗くなってきて、花火も予定通り開催されるという情報が流れたのか、車がどんどん増えてくる。いくつもある大駐車場のほとんどが満杯になったのではあるまいか。冷え込んでくる中、ほとんどの人がじっとスマホをかざして撮影している。子連れの人が意外に多かったなー。
 今日(15日、日曜日)も早朝に5回のレースが予定されていたが、どうだったか。会場の栃木市藤岡町の天気予報では晴、風速5メートルということで、無事開催できたのではないかと思う。寒かったが、気分がリフレッシュできてよかった。

色の衝撃-ルミナスカラー

スキャンしたら黄色が消えてしまった

絵の具メーカーのホルベイン社から新発売の「ルミナスカラー」が出たというので、使ってみた。ルミナスというから蛍光色だはと思ったが、実際ホルベインのホームページにもそう出ている。蛍光色は水彩、アクリル、油絵具などにすでに使われていて、わたしもアクリル絵の具では何本か持っているが、水彩絵の具で使ったのは今回が初めて。久しぶりに色の衝撃を受けた。凄い発色、というか輝きに圧倒された。

上の絵の、カーテンの柱から右側の部分が主にルミナスカラーを使用、左側はほぼ従来の水彩絵の具で描いたものを、日なたでカメラ撮影した。明るいというより、それ自体が発光しているかのよう。窓の向こうが明るい、というより、むしろ窓からこちらに飛び出して見える。色が強い(彩度が高い)のである。テーブルの赤も、これまでの水彩絵の具ではできなかった発色。これを使えば、確かに表現が変わる、考え方も変わりそうだ。

下の絵は、それをスキャンしてみたもの。スキャンとカメラ撮影では条件が違うので一概に比べることはできないが、ルミナスカラーの部分が極端に色褪めしているのがわかる(左のテーブルにもルミナスカラーが少し使われている)。特に黄色は完全に消えてしまった。
 これは大きな問題だ。もし、画家が自分の作品を印刷・出版する場合はスキャン画像が重要になると思うけれど、その目的ではこの絵の具は使えないことになる(ただし、普通にカメラで撮る限りは問題ありません)。
 さらに、通常の絵画作品を制作する場合、制作から発表まで何年もかかることも珍しくない。どころかずっと保存したままになる作品の方が圧倒的に多い。その時問題になるのは「耐光性」。光に対してどれだけ色の保存力があるか、ということ。ルミナスカラーは全部で12色発売されているが、そのすべてが耐光性は「低い」。色が変化しやすいレベル。多くの画家にとっては、そこが心配だと思う。

ただし、(保存しない)一回だけの展示、目を引くことが狙いのポスターやイラスト、ポップなどにとっては、強力な武器になることは間違いない。そういう作品にはお勧めです。