酔芙蓉

庭の酔芙蓉が大きくなった
庭の酔芙蓉が大きくなった

前回「怖い世の中だ」を書いたら、数日してNHK「クローズアップ現代」で、「土下座が増えている」という内容の放送があった。土下座して謝る、謝らせる場面が社会に広がりつつあるという。「倍返し」「リベンジ」という言葉を、私たちも何とも思わなくなってきたのが怖い。

酔芙蓉は何となく艶っぽいイメージがある。夕方になると酔ったように朱くなるということで、この名前がついたのだと聞いている。一日で萎んでしまうのも、儚くてなんだか良い(よく見ると意外にしっかりした花なのだが)。

怖い世の中だ

浮かぶ男 F120 2013
浮かぶ男 F120 2013

連日のように中国艦船が日本の領海に侵入を繰り返すニュースが流れる。その度に中国は悪者と言う「共通認識」が広がっていく(もちろん中国でもそれは同じようである)。けれど日本の工場、デパートなどが中国で壊されたようなことが、逆に日本で起こらないことを祈りたい。

最近アメリカの民主主義もかなり危ない気がする。戦後70年近く経つが、日本の民主主義は、ずっとアメリカだけを父のように慕い、真似をし続けてきたと思う。子どもも成長したら、パパの悪い所は真似してはいけないのに。

私たちの民主主義は江戸時代以前のまま。なぜか子どものまま。立派なパパの背中が大き過ぎるのだろうか。

 

 

 

恐山にて

恐山・花染めの湯
恐山・花染めの湯

一か月ぶりにまた下北半島・恐山へ行ってきた。

恐山には地獄も極楽も目白押しだが、本当の極楽は実は温泉ではないだろうか?建物の形にはなっているが、まあ露天風呂の延長のようなもの。恐山の山地内には無料で入れる温泉は現在4つ。山門を潜るとまっすぐ地蔵堂の方へ敷石の道を行く。中門を抜けたところに3つの湯屋がある。一番左に女湯と書いてあるが入ったことはない。

写真の「花染めの湯」はそこからずっと離れて、ポツンと人通りから見えないところにある。周りはまだガレたままで、ガスが噴き出したり、荒涼とした雰囲気だ。ここが恐山開山時からの最も由緒ある名湯なのだが、恐山がどんどん観光化し、宿泊施設などがやたらに建設され、それらの建物の陰に隠れてしまった。ちなみに名湯は昔のままの混浴である。地獄に男も女も関係ないのだから、当然と言えば当然か。

恐山に行って、温泉に入らないのは、魚釣りに行って一匹も釣らずに帰ってくるようなもの。しかし、殆どの人は釣ろうともせずに帰っていく。糸を下げるだけでも釣りではあるかも知れないが、釣れれば釣りは何倍も面白いものだ。暑い中、上り下りで汗びっしょりになって地獄を歩いた後は、やはり温泉は気持ちがいい。温度もぴったり。脚が自然に伸びていく。身体が勝手にほぐれていく。地獄、極楽はセットでこそ有難い。あの世へ旅立つ前の、つかの間の命の洗濯「老人バスツアー」から「極楽」をカットしては、ツアー会社も賽の河原の鬼同然。お湯に浸けて、ほんの数分でもしわを伸ばしてやりなされ。それが現世供養というものではありませんか?