
紙質に合わせた色と筆遣いの練習。描けばかならずうまくできないところに出合う。テクニックが未熟なのか、理屈がちゃんと理解できていないのか、集中力がないのかなどなど理由は様々だが、いずれにせよ「うまくできない」ことにぶつかる。
練習すれば誰でも上達する。ただし、それは無限ではない。ある一定のところで上達は止まり、そこから先は、それを維持するだけでもそこまでの何倍か大変で、やがて退化するのが普通だろう。「一定のところ」の一つは年齢。体力のことはどんな人も避けて通ることができないから、これは仕方ない。精神的な面もあるが、それも年齢と不離不即の関係にある。
けれど、何歳くらいで上達が止まるか、という質問には意味がない。80歳から始めても、情熱があるうちはどんどん上達する。一方20歳で始めても4、5年経つと上達が止まる。少なくとも、目に見える上達の程度というのはそんなものだろうと思う。つまり技術的なレベルというのはある程度決まっていて、そこに到達すれば終わり、という感じだろうか。そういう意味では、なるべく早く始める方がいいのは確か。
「うまくできないところがある」、それをどう乗り越えるかは経験によって変わってくる。体力と違って、それは増える一方だ(物忘れもあるが)から、体力・技術力の低下を経験智で補い、それどころか、そのことが新たな技術を生み出したりもする。
要するに、どんな場合でもがっかりすることなどないってこと。練習すれば誰でも経験智が増す。できないことがあることで、経験智が一層深く、豊かになるということなんですよね。