習作

「ショーウィンドー・習作2」  水彩

前々回の「ショーウィンドー」と同じモチーフでの展開。プラスに行けた面もあれば、後退してしまったところもある。

単純に言えば左 1/3 が「よく分からない」構成になっている。少し欲深すぎて、あれもこれも入れ過ぎたらしい。「習作」だからと、いろんなことを一度に試してみようとし過ぎた。やっぱりひとつひとつ課題を意識して試し、分析していかなくっちゃいけないところもある。試行錯誤の時間を端折った報いがここに現れた。絵は正直だ。

それはそれとして、こういう試みは勉強になるし、楽しいだけでなく、絵を見る感覚を鋭くもする。ただし、普通に制作するのに比べて3倍くらい時間がかかる。我慢しきれず、つい時間を短縮したくなるのだが、やはりそれにはそれなりのデメリットもある、ということも習作を通して知ることのひとつ。

作家という表現

「冒険」  水彩

久しぶりに上野の東京都美術館、乃木坂の国立新美術館を廻ってきた。腰の具合が悪いため、駆け足で、3つの団体展(上野の「一水展」、新美術館の「行動展」「新制作展」)と企画の「時代のプリズム」展(国立新美術館)を観た。

3つの団体展はそれぞれ実力の作家たちがそれぞれの力を発揮していて見ごたえがあった。時に高齢の作家が新しい境地を見せていたり、継続することの大切さも感じた。
 「継続は力なり」などと誰しも決まり文句のように言ってしまうが、制作を継続するには膨大な労力と強い意志が要る。制作のスペースを維持し、制作の気力を維持するには肉体的な健康だけでなく、旺盛な好奇心が必要なこと。そして何より、そこから生じる様々な不都合を全部引き受ける覚悟が要る。それを淡々と?毎日続けていくのが「作家という表現」。展覧会はそれを観せてもらいに行くようなものでもある。

ショーウィンドー

「ショーウィンドー」  水彩

いわゆる繫華街などを歩くたび、「ショーウィンドー」は現代的ないいモチーフ(題材)だと思っていたが、なかなか絵にする機会がなかった。

多くの人がネットでショッピングするのが主流になった来た昨今、このままでは「ウィンドー・ショッピング」なんて言葉どころか、ショップで買い物をすること自体が無くなり、ひいてはショーウィンドーそのものも、単なるモニターになってしまうかもしれない、と危機感を抱いた。「いま、描いとかなくちゃ」って。

ショウウィンドーの前を一人の女性が通り過ぎる。その情景を作品化してみた。まあ、最初の手応えとしては悪くない(だいぶ古風だが)。このモチーフで10枚は描けるだろう。先日描いた「柿」を、デザイン化して強引に入れてみた。