色の衝撃-ルミナスカラー

スキャンしたら黄色が消えてしまった

絵の具メーカーのホルベイン社から新発売の「ルミナスカラー」が出たというので、使ってみた。ルミナスというから蛍光色だはと思ったが、実際ホルベインのホームページにもそう出ている。蛍光色は水彩、アクリル、油絵具などにすでに使われていて、わたしもアクリル絵の具では何本か持っているが、水彩絵の具で使ったのは今回が初めて。久しぶりに色の衝撃を受けた。凄い発色、というか輝きに圧倒された。

上の絵の、カーテンの柱から右側の部分が主にルミナスカラーを使用、左側はほぼ従来の水彩絵の具で描いたものを、日なたでカメラ撮影した。明るいというより、それ自体が発光しているかのよう。窓の向こうが明るい、というより、むしろ窓からこちらに飛び出して見える。色が強い(彩度が高い)のである。テーブルの赤も、これまでの水彩絵の具ではできなかった発色。これを使えば、確かに表現が変わる、考え方も変わりそうだ。

下の絵は、それをスキャンしてみたもの。スキャンとカメラ撮影では条件が違うので一概に比べることはできないが、ルミナスカラーの部分が極端に色褪めしているのがわかる(左のテーブルにもルミナスカラーが少し使われている)。特に黄色は完全に消えてしまった。
 これは大きな問題だ。もし、画家が自分の作品を印刷・出版する場合はスキャン画像が重要になると思うけれど、その目的ではこの絵の具は使えないことになる(ただし、普通にカメラで撮る限りは問題ありません)。
 さらに、通常の絵画作品を制作する場合、制作から発表まで何年もかかることも珍しくない。どころかずっと保存したままになる作品の方が圧倒的に多い。その時問題になるのは「耐光性」。光に対してどれだけ色の保存力があるか、ということ。ルミナスカラーは全部で12色発売されているが、そのすべてが耐光性は「低い」。色が変化しやすいレベル。多くの画家にとっては、そこが心配だと思う。

ただし、(保存しない)一回だけの展示、目を引くことが狙いのポスターやイラスト、ポップなどにとっては、強力な武器になることは間違いない。そういう作品にはお勧めです。

「習作」が絵になる瞬間

   習作 「赤い実」   水彩

「カーテン」の習作を何枚か描いたうちの一枚。あとから思いついて、小さな赤い実を描き加えてみた。とっさの思いつきだから具体的な植物名など考えてない。単なるイマジネーションに過ぎないが、後から考えるときっとハマナスのイメージが閃いたんだろうな、と思う。

窓の向こうは道の一部のようにも見える。むこうから誰かが歩いてくればドラマが始まりそうだ。カーテンのドレープの下から、こっちに歩いてくる人物の脚を描いたらどうだろう。あるいは、赤い実を摘んでいそうな、子どものかがんだ姿勢などが見えたとしたら。 それが、ただの習作が「絵になる瞬間」かもしれませんね。

Yes, I am old fashioned.

「ポインセチアー窓際の2鉢」  水彩

教室用のモチーフ、年末恒例のポインセチアも少しずつ飽きられてきた。とはいえ、前にも記事にしたことがあるが、ポインセチアは一見簡単そうに見えて、実は色もかたちもかなり強力に手ごわい相手である。そういうことを教室の人たちもすでに知り抜いていて、「敬して疎遠」、やや「猫跨ぎ」という気分なのかもしれない。もちろん、ポインセチアにも教室の人にも罪はない。

罪はないけれど、このまま萎れさせるにはちょっと勿体無い。せめてわたしも一枚くらいは描かなくちゃ、という「もったいない精神」で描いてみた。

これ、2鉢だから絵になっているんですよ。解ります?この感覚。一鉢じゃ “ただのスケッチ” になってしまう。“ただのスケッチ” って何ですかって、追及しないで欲しいんだけど、要するに「絵画性」が増す、ってことです。・・・ってどういうことですか、というのに答えると、毎回論文書く(のと同じ)ことになるので、要するにワタシの感覚では、とだけ言っておきましょう。でもそれ、古い感覚でしょ、と土俵際まで押し込まれれば、 Yes, I am old-fashioned. と開き直るしかありません。そのうえちょっとケチかも(^-^;