
今日のデモ制作です。油絵クラスなどでは「補色」を並置することはごく普通の技術ですが、水彩で、特に顔などを描くときは感覚的に躊躇しがちです。補色とは、混ぜ合わせるとグレーになる、という色の組み合わせだからです。
色の滲みを多用する水彩画では、「並置」のつもりが「滲み」で混ざってしまい、グレー化する可能性がとても大きい。そこが、色をきれいに出したい水彩では用心せざるを得ないわけですね。
ごく普通の、水彩による写生的感覚では、人間の顔にこんなふうに「緑色」を使うことはほとんどないでしょう。日本人の顔なら、バーミリオン、クリムソンレーキ、マゼンタ、イエローオーなどの暖色系、陰の色としてセルリアンブルー、コバルトブルーくらいを使い回すはずです。
混ぜるとグレーになる一方で、補色とは「お互いの色を引き立て合う関係」という意味も持っています。緑を並置することで、単独の赤より存在感のある赤み、血の色、血色のいい顔色を期待することもできるわけです。両面があるんですね。
でも、実はそれとは別に「絵画的」という効果がある、と今日のデモ制作で再認識しました。これをもっと洗練して全員が使えるようになったらいいな、と感じました。「写生的」に対しての「絵画的」指向です。この考え方、感じ方はもちろん顔だけに限られているわけではありません。使い方を工夫して、ワンランク上の作品作りに役立ててもらおうと考えています。