寸描

8/27(日)アップしました

陽光のなか、車列がノロノロと動いては止まり、止まってはまた動く。車のいたるところから強い反射光がわたしの眼を射る。テレビなどでこちら側に向けて銃を撃っているシーンとそっくりだ。目の前を移動する車のかたちに合わせ、銃口の位置は移動するが、ずっと眼を射続けていることには変わりがない。

白い車が多い。塗料が安く、耐久性がいいからだ。色褪せしても目立たない。橋上の車列を横断して、川沿いに老夫婦らしき二人連れが駅の方向に向かって歩いていく。白っぽい幅広の帽子と白いキャップを被り、二人とも少し小さめのバッグを持っている。どこかお出かけするのだろう。女性は薄い青地の短い袖のワンピースに、花柄だろうか、ところどころ淡い赤が動く。男性は薄い地模様のある半袖シャツに白の半ズボン。ややずんぐりで背は高くないが、庭仕事や家事などはこまめにできそうなタイプに見える。少し歩幅狭く、彼女の1メートルほど前をせかせかと歩いていく。10秒ほどで家の向こうに消えて行った。