

パソコンを新しく買い替えたことはもう何度も書いた。替え方が荒っぽかったので、周辺機器の環境もそれにともなって変えざるを得ず、一つ機器が入れ替わるたびに、モノの移動と片付けをするはめになった。
古いスケッチブックを捨てるつもりで開いてみると、上のような絵が他にも何枚か挟んであった。上の戦艦は高校2年生(17歳)の時、下の山猫は中学2年生(14歳)の時の模写だ。たぶん丸ペンと油性インクか墨汁。「山猫」では、手前の木の表現に、割り箸を削って、タッチを変えて描いた記憶がある。
手前みそだが、なかなかよく描いていると思う。特に下の中学生の時の模写は、「山猫の兄弟」という本にあった挿し絵を真似て描いたものだが、ハッチングの線が実に描きなれていて、よどみない。余裕を持って描いているのがわかる。もしかすると今より上手いかもしれない。文房具屋さんもない田舎で、好んで絵を描くような人が誰も周囲にいない環境で、油性インクや丸ペンをどうやって知り、手に入れたかも、いまでは謎。それが若さだなあと思う。
戦艦のグレーの部分は、今では描けないほど細く、鋭いクロスハッチングになっている。17歳といえば私のペン画による「初個展」の年。サルトルの実存哲学に触れ、「世界の中の自分」というものを初めて意識した年だった。ちっとも勉強はしなかったくせに、カミュなどを愛読し、いささか反抗的な気分をみなぎらせていた(笑)。これらの模写を見ると、最近は何でも年のせいにして「逃げている」のではないか、と突きつけられたような気になる。悪いものを見つけてしまった。