
宇宙工学は、ある部分で最先端の部門でもあるし、見方によっては頭打ちの学問分野でもあるらしい。技術的な部分に関しては最先端の実験装置であり、学問的には基本的に古典的なニュートン力学の範囲に収まるからかな、と勝手に解釈している。
「叫ぶ男」(2008)からわずか3年で、地を這っていた男がいきなり宇宙へ行ったような絵だと思うだろう。確かに。でも、恐竜が滅んだ原因の一つの説として、巨大隕石が地球に衝突して出来た衝撃とその後の気候変動があげられているように、宇宙と恐竜はつながっている。そのように原始的・野性的な「這う男」と科学技術の粋「宇宙飛行士」は私の中では全然矛盾せずに重なり合っている。いや、むしろ同一視していると言ってよい。
昨年の「新生 №5」は両生類を思わせる胴長人体?だった。これも両生類→爬虫類→哺乳類→男?と私の中では→より、むしろ=のようにつながっている。どういう理屈でつながっているというのだ!と憤る人がいるかもしれない。たとえばこれらの動物は皆、地球の重力の影響を受けている。同じ時間をかけて進化し、体の構成元素もほぼ同じもので、その割合も驚くほど近い。感覚や神経だってそう大差無いだろう。つまり十分すぎるほどに共通項は大きい。どころか、違いなんてほんのちょっとだ、と私は感じているわけです。
光速より速いものが無い以上、タイムマシンで過去への旅行はできない。一方で私達はたとえば化石の中から恐竜のDNAを取り出せるところまで来ている。つまり、科学技術が一種のタイムマシンになったことになる。それは過去と現在を同じ次元に並べてみたい、という想像力の結果に違いない。時間や重力から想像力をほんの少し解放してみたいと思う。 2011/6/18