「コーヒー」が売れているのだそうだ―インスタントではなく、豆や粉が。コロナが世界を小さく閉じ込め始めてから。人々が外へ出かけなくなって、やっと自分の時間を取り戻し始めているということにもなるだろうか。
世界経済は停滞気味、かといえばそうでもないらしい。もちろん、これまでの働き方、ビジネスの仕方では大幅ダウンの企業、業種はあるだろうが、たとえばこのコーヒーのように、「個人」に関わる度合いの大きな業種ほど空前の利益をあげているようだ。先進国?の中では、日本以外では横ばいかむしろコロナを機に業態転換、経済構造の変革によって良い経済循環になっているとも聞く。
経済評論家でもないのにこんなこと書いても仕方ない。―コーヒーを淹れ始めるようになって1年近く、やっと「コーヒーの味」が判るようになってきた、ような気がする。それまではインスタントコーヒーのがぶ飲みで、それでも「まあ、コーヒーってこんな味だよ」と思っていたが、今からみるとそれらはまったく「経験智」にならなかったのだった。
お茶も同じことだろう。味の分かる人は美味しいお茶を飲み、こんなもんだと水代わりに飲む人にはそれなりにしか判らない。考えてみればコーヒーやお茶に限らず、すべてのことにそれは言えるのではないだろうか。一杯のコーヒーはわたしに平穏と静かな積極性を与えてくれるようになった。―ウクライナで戦う両国の兵士たち、逃げ惑う市民たち。一刻も早く、彼らにも深い一杯のコーヒーをゆっくり味わえる日が来ることを心から願う。