失敗作のビデオです。手を動かしても普通に見えるようになるはず、と計算したつもりだったが、あとから考えると映像の基礎知識がずどんと抜けていた。しばらく放置していたが、失敗も面白いと考え直した。
油絵や水彩画を描くことと、パソコンで絵を描くこととのあいだに本質的な違いはない(はず)。水彩絵の具を使えば水彩なりの発想をするし、油絵具を使えばそれに対応した感じ方をする。パソコンを使えばパソコンなりの発想があるだろう。そこに流れる感性やものの考え方が、道具次第で別人になるわけではない。
とはいえ、実際に使ってみるとずいぶん勝手が違う。特にパソコンは実材(実際の材料)ではなく、あえていえば架空の材料で絵を描くものだから、「絵」という言葉を辛うじて共通させているだけで、正直に言えば私にとっては別次元のものに感じられる。パソコンは知識の塊だから、私のように感覚的な人間には、ときにはいらついて放り出したくなる。
それでもある瞬間には、絵の具をまぜるとか、乾燥を待つとかの手間なしに、すっと自分の頭の中の映像を表現しているような気持になることもある。絵を描くということにとって、道具の違いは本質的なものではない、と書いたばかりだが、lakini、待てよ。それは、これまで空気に触れてこなかった私の中の、私自身も知らなかった部分が露出、研ぎだされているということではないのか。そこに新鮮な自分を見つける”チャンス”があり、それを引き出すのは道具の力なのではないか。そんなことも考えながら、いろいろやってみる。