
それから電機店めぐり、パンフレット集め。とりあえず行き当たりばったりに電機店に行く。早く決めてもらいたい店員からじっくり話を聞く。「考えていた額と全然。買えるものないわー」「どうぞ、気を取り直してご検討ください」。もらったパンフレットを扇のように広げ、夜検討する。家族全員に共通する必要条件はゼロ。要するに決められない。
とりあえず大蔵大臣としては「安い方がいい」。文部科学大臣からは「機能優先」。首相不在の内閣。「安く」「買わないのが一番安いよ」「クーラーボックス生活。被災者の生活を見習え」、「アイスが取り出しやすい機能」などそれぞれいい加減なことを言う。メモを取り、電機店回りだけで数日、数時間ずつ。それが実に疲れるが、貧乏人の買い方としては仕方ない。他のお客は後から来て、せいぜい30分も検討すると結論が出て購入して帰る。実に羨ましい。「この時期ですから、どんどん無くなりますよ」と店員に脅されても、やはり決められずくたびれて帰る。
電機量販店というのは値段横並び。かといって価格協定は法律違反。si、その店より低い価格で売る店があると、しぶしぶでもその値段に合わせ、自店で売るようにする。「さらにお安くします」「ご相談ください」というのはそういう意味だ。si、メーカーと機種の候補を絞ったら、あとはどこがいくらで売っているかをチェックし、「ご相談」の手元資料を手に入れなければならない。交渉材料がなければ言いなりに従うしかないからだ。
ネットで検索した資料をもとに、どの店で買うかを検討し(どの店で買うかも案外重要な気がする)、いざ店頭へ。でも必ず買うと決めているわけではない。横並びに対応してくれないかもしれないし、別な条件が出てくるかもしれない。こちらは資料をひっ抱えていくが、実際には店員の方はすでにそんなものは知っている。彼らは百戦錬磨のプロなのである。そこからの交渉をベテラン店員は楽しんでいるかのようにさえ感じられた。値段はこれくらい、下げるのが無理ならポイントで修正、保証内容の再検討などは、生徒の「勉強」への先生からのご褒美のような気さえした。
「安く買えたか?」実際は考えていた額より多く出費した。プロの術中に嵌ったかのようだが、ネット最安値で、初めはつけないと言われたポイントを10%つけ、保証も納得したうえで購入できたのは、結局お店側にとってもよかったのではないか。そのあとの手続きも気持ちよくやってくれ、配送も最短日より5日も早かった!
冷蔵庫を台所に設置する経路を作るための、室内の片付けが大変だった。想定はしていたが、丸一日。経路がきちんと確保できていたお陰で、冷蔵庫の到着から、古い冷蔵庫の引き取り、新しいものの設置、納品のサインまでせいぜい15分。二人の若い搬送業者は、今日も納入がびっしりで、夜まで時間との勝負だと言っていた。片づけの苦労が幾らかは彼らに時間の余裕を与えたかもしれない。